「攻めて挑戦」実行 MHPS井上26位 ここからまた強く 東京マラソン

 残り1枚の五輪切符を懸けた戦いのテーマは「しっかり攻めてチャレンジする」。井上(MHPS)は、その言葉通りの走りに徹した。終盤に失速して26位に終わったが、気持ちはどこかすっきりしていた。「自分の力がきょうの結果。そこは後悔していない」
 順調に準備を重ね、いい状態で迎えた勝負の日。最初から、海外勢とともに2時間3分台を目指す先頭集団につくと決めていた。序盤は問題なく走れていたが、中間点を過ぎて徐々に脚にきた。それでも「つけるところまでつこう」とハイペースを貫いた。
 32キロすぎまで日本勢トップを快走したが、そこで限界がきた。大迫(ナイキ)にかわされた時は「もういっぱいいっぱいだった」。そこから脚を動かすのがやっとになり、順位を下げていった。
 ただ、覚悟を決めて果敢に挑んだ走りは「日本記録大幅更新も」という夢を見せてくれた。真に力がある選手にしかできない走りだった。MHPSの黒木監督も「やれることはやった。井上は世界で戦わないといけないから。この積み重ねだと思う」とねぎらった。
 マラソンでの東京五輪挑戦は終わった。でも、世界レベルの選手になるという夢は、これからも追い掛け続ける。「まだまだ強くならないと」。27歳の挑戦者は、自らを奮い立たせるように前を向いた。

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