【MLB】5年ぶりにメジャーの舞台で実現した“筒香VS前田” 全9球に込められた両者の思い

メジャー初対決が実現したツインズ・前田健太(左)とレイズ・筒香嘉智【写真:Getty Images】

2015年以来の対決は左飛、右飛と打ち取った前田に軍配

 レイズの筒香嘉智外野手とツインズの前田健太投手の対決が1日(日本時間2日)、フロリダ州ポートシャーロットのレイズ本拠地で実現した。前田が広島最終年の2015年以来5年ぶりとなった対決は、左飛、右飛と打ち取った前田に軍配が上がった。

 前田との対決を前に「対戦する中でいろいろ気付かせてもらうことがいっぱいあると思う。勉強させてもらいます」と抱負を話していた筒香は、メジャーで実績を積み上げる先輩右腕との2打席、9球の勝負に「コントロールの凄さを僕は感じた」と振り返った。

 初回の第1打席、筒香は「途中まで真っすぐに見えて最後にちょっと沈むすごく嫌なボール」と舌を巻く、外角低めへの83マイル(約134キロ)チェンジアップで左飛に打ち取られた。追い込まれていたため、ボール気味の球をバットで拾う右手1本のスイングで対応するのがやっとだった。

 2回の2打席目は、左打者対策で磨きをかけた内角低めのボールになるカッターに誘われ、ハーフスイングで空振りを奪われた。筒香はこの打席で甘く入るスライダーを捉え逆風が舞う右翼へ大飛球を打ち上げたが、打球は予想を裏切る右飛。登板を終えフィールドから引き上げる前田と別れの挨拶を交わした筒香は「風がなくても(打球は)行ってなかったです」とミスショットを認めたという。

フィールドを去る前田に言葉をかける筒香【写真:木崎英夫】

筒香は前田の制球力に脱帽「なかなかこっちの投手ではないようなもの」

 全9球の勝負だった。外野飛球2本のプロセスを見れば、筒香はボール球を効果的に配した投球で打ち取られている。前田の“ゾーンを外す”制球力は調整段階でも冴えを見せていた。戦いを終えた筒香は前田の印象をこう表す。

「日本の時と変わらず、制球力はなかなかこっちの投手ではないようなものだなと思いました。(今後対峙する)アメリカの投手でもいると思うので、今日の対戦を参考に次にいろいろつなげていきたいと思っています」

 一方で、前田も筒香を警戒する。

「いろんなボールを待ちながら対応しているバッターなので、ピッチャーとしては打ち取るのが難しいし、三振を取るのが難しい。いいバッターだなと思います」

 対戦を前にして前田は「純粋に楽しみたい」と言った。しかし、手強い打者と実感するマウンドでその気持ちは変わった。

「全球種を投げながら手の内を少し隠しつつ抑えていける投球をしました。シーズンに入ればまた対戦する機会もあると思うので、気を引き締めて抑えられるようにしたい」

 本番でレイズとツインズがぶつかるのは6試合。再戦の暁には駆け引きの糸が絡み合う“味読”に値する勝負になることは想像に難くない。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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