ドローン協会設立 “行政とドローン所有者つなぐ”

「ドローンには幅広い活用可能性がある」と話す小田さん=長崎市伊王島町1丁目

 小型無人機ドローンの普及が進む中、昨年11月に一般社団法人「長崎ドローン協会」(小田美鈴、横田耕詞、川上貴之代表理事)が設立された。協会の設立は長崎県内初。ドローンは災害発生時や産業への利活用に期待が高まっている。協会設立の目的や今後の展望を小田美鈴代表理事(46)に聞いた。

 -協会設立の目的は。
 一般社団法人として、行政機関と幅広く連携することができる。これまでは県や各市町が民間企業などとそれぞれ協定を結んできたが、県内で包括的な連携は現在ない。協会が、行政機関と県内のドローン所有者をつなぐ窓口的な役割を担い、災害現場や産業での活用をアピールしたい。これまで行政機関や民間企業が個別で対応できなかった部分を、協会として幅広いニーズに対応していければと思う。

 -具体的な運用策は。
 今年1月、南島原市と災害発生時のドローン活用に関する協定を結んだ。このほか行政機関や個人から依頼を受ければ、県内各地の協会員につないで災害現場やイベント、空撮などに派遣する。今後は会員(個人約60人、企業10団体)を増やしつつ、県との連携を視野に入れて活動を進めていく。

 -県内におけるドローンを取り巻く現状や、見込まれる災害時の活用策は。
 この1年で県内での普及が進んでいる。ドローンを使えば災害発生時のいち早い現場確認のほか、火災現場では焼損面積の早急な測定も可能。サーモカメラを搭載すれば、人の体温を感知して行方不明者や遭難者の発見にもつながる。測量データを3D化できるため、ハザードマップの改良にも効果を発揮できるなど活用範囲は広い。

 -全国的にドローンの不適切使用による事件・事故が起きている。
 摘発されたケースでは、ほとんどの人が『ダメなことを知らなかった』と言う。使う人は正しい知識と手続きを踏んだ上で飛ばさないといけない。規制を緩和しすぎても事故のリスクが大きくなる。事故要因を調べると整備不良によるものが多い。協会として、会員にはドローンに関する条例、法令の周知活動に力を入れていきたい。

 -産業への活用範囲は。
 建設・土木工事での現場点検では、従来のような足場や一定の人員が不要になる。このほかインフラ施設の点検作業や農薬散布も可能。時間、人、費用が大幅に削減できる。

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