80年代洋楽を代表する一曲、ネーナ「ロックバルーンは99」共有感は100%! 1984年 3月3日 ネーナのシングル「ロックバルーンは99」がビルボードHOT100で最高位(2位)を記録した日

共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.34
99 Luftballons / Nena

シンディ・ローパー「ハイ・スクールはダンステリア」に匹敵する共有感

80年代に誕生した93曲のナンバー2ソングの中でも、シンディ・ローパー「ハイ・スクールはダンステリア(Girls Just Want To Have Fun)」に匹敵するほどの最も高い共有感、認知度を誇るのが、80年代32番目のナンバー2ソング、ネーナ「ロックバルーンは99(99 Luftballons)」(84年3月2位)だ。

特に40代後半から50代にかけての共有感はほぼ100%に近いであろう「ロックバルーンは99」だが、ドイツ出身がゆえにドイツ語というハンディを逆手にとって、音・ビジュアル両サイドから受けた強烈な印象を忘れられない方々はかなり多いと推測される。

結果、並みいるナンバーワンソングを押しのけるほどに、いわゆるバブリーな80年代洋楽を代表する1曲になっていると言っても過言ではない。

第2次ブリティッシュ・インベイジョンの潮流にはまった!

ネーナはドイツ出身のポップロックバンドではあるが、下に記した欧州経由のヒットソングたち同様、広い意味での第2次ブリティッシュ・インベイジョンの潮流に最も良いタイミングではまっていたということになる。

■ アーハ「テイク・オン・ミー」(ノルウェイ)
■ タコ「踊るリッツの夜(Puttin’ On The Ritz)」(インドネシア~オランダ)
■ ファルコ「ロック・ミー・アマデウス」(オーストリア)
■ ゴールデン・イヤリング「トワイライト・ゾーン」(オランダ)

まあ美人でかわいいという、日本人好みの絶妙な顔立ちの女性シンガー “ネーナ” こと、ガブリエレ・ズザンネ・ケルナーが、イケメン(に見える)バンドメンバーを従えてキャッチーなフレーズを歌う。もうそれだけでいかにも80年代ポップロックの典型的雛型みたいなもので、この曲のヒットには妙に納得できる要素が散りばめれていた。けっしてネーナちゃんの未処理わき毛が話題になったからだけではないはずだ。

ヒットのタイミングも注目、同時期にエポックメイキングな作品が多数!

そして、なんといってもヒット時期のタイミングの良さこそが見逃せない点である。海外PVがお茶の間に浸透・定着するのに貢献したエポックメイキングな作品が多数同時期にヒットしていたのは大きい。

■ ヴァン・ヘイレン「ジャンプ」
■ シンディ・ローパー「ハイ・スクールはダンステリア」
■ マイケル・ジャクソン「スリラー」
■ カルチャー・クラブ「カーマは気まぐれ(Karma Chameleon)」
■ ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」
■ ユーリズミックス「ヒア・カムズ・ザ・レイン・アゲイン」
■ デュラン・デュラン「ニュー・ムーン・オン・マンデイ」
■ ケニー・ロギンス「フットルース」
■ イエス「ロンリー・ハート」
■ トンプソン・ツインズ「ホールド・ミー・ナウ」

ネーナが最高位2位を記録した時点での主なトップ40エントリー曲は、錚々たる楽曲のオンパレード!「ロックバルーンは99」は、これらの作品群に引っ張られるように堂々たるヒットを記録したわけだ。しかしネーナはその後さしたる世界的ヒットソングをついぞ誕生させられていない。

※ KARL南澤の連載「共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味」
ジャンル、洋邦、老若男女を問わないヒットソングにある ‟共有感”。米ビルボードのチャートがほぼそのまま日本における洋楽ヒットだった80年代。ナンバーワンヒットにも負けず劣らずの魅力と共有感が満載の時代に生まれたビルボードHOT100 2位ソングを紐解く大好評連載。

■ ジョディ・ワトリー、来るべき R&B ブームの先陣を切ったポップアイコン
■ イマジンにも匹敵!クラウデッド・ハウスが80年代に刻んだ永遠のナンバー
■ ジャム&ルイスで大当たり!ジャネット・ジャクソンのスターダム街道
etc…

※2017年7月20日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: KARL南澤

© Reminder LLC