当時のF1史上最年少記録とともに、通算6度のワールドチャンピオンを手にしているルイス・ハミルトンの弟で、自身もツーリングカーでのキャリアを築いてきたニコラス・ハミルトンが、2020年に向けBTCCイギリス・ツーリングカー選手権へのカムバックを表明。デビューイヤーの2019年に続き、ROKiT(ロキット)とABK Beerの支援を受けつつチームHARDに移籍し、フォルクスワーゲンCCをドライブする。
2019年にイギリス最高峰のツーリングカー選手権、BTCCへの昇格を果たしたニコラスは、フォード・フォーカスRSを走らせるモーターベース・パフォーマンスから全10戦中8戦に出場した。
終盤2戦はプログラムの都合でシートを失っていたものの、2020年に向け体制を一新。トニー・ギリアム代表率いるチームHARDに移籍し、ジャック・ゴフ、マイク・ブッシェルとともに3台目のVWのステアリングを握ることとなった。
「激動の初年度を終え、こうしてチームHARDの一員になれてとても光栄だよ」と、2020年シーズンへの意気込みを語ったニコラス。
「昨季は本当に大変な1年で、僕自身のレーシングキャリアが終わってしまうかもしれない重圧とつねに戦ってきた。それでも周囲の人々は僕に集中できる環境を与えてくれ、そして今、新たな挑戦の機会をもたらしてくれた」
「チームHARDは言うまでもなく、とてもプロフェッショナルな組織で、その粘り強さや強いモチベーション、戦う信念にとても刺激を受けている。彼らのレースに対する姿勢とマシンの準備、チームにエネルギーを与えて物事を進めていく方法はとても印象的だ」
「そんな彼らの一員として戦えることにワクワクしているし、何よりもROKiT PhoneとABK Beer、そしてチームHARDの支援に心からの感謝を捧げたい」
チーム代表のギリアムも、脳性麻痺を抱えながら最高峰ツーリングカーへの2シーズン目に挑むニコラスのチャレンジを歓迎する意向を示した。
「ニック(ニコラスの愛称)が我々のチームとともに、BTCCヘの挑戦を継続する決断を下したことを光栄に思うよ」と続けたギリアム代表。
「3台の新たなフォルクスワーゲンCCを準備するなかで、彼の決意と成功への意欲はチーム全体を本当に動機付け、高めてくれるものだった。ニックは2019年のデビューイヤーで目覚ましい進歩を遂げ、とくに開幕戦ブランズハッチの序盤に見せたラップは周囲の目を引くに価するパフォーマンスだった」
「2020年はチームの歴史上初の試みとして、オフシーズンにスペインでテストを実施することになり、そのチャレンジにも心から興奮している。彼にとっても新たなチームと、異なるマシンであるフォルクスワーゲンCCに慣れる有効な期間になるはずだ。2020年の躍進を目指し、チームメイトから多くを学んでくれることを期待している」
■3度の王者経験者が古巣をサポート
一方、ホンダUKのファクトリー支援を受けるチーム・ダイナミクスは、オフシーズンのバイク・トレーニング中の事故により負傷したマット・ニールに代わり、ゴードン・シェドンを招集。古巣に復帰した3度のBTCCタイトル獲得経験者が、シーズンに向けた準備を支援することとなった。
「チーム・ダイナミクスは常に私のレースファミリーであり、彼らをサポートできることを本当にうれしく思うよ」と喜びを語ったシェドン。
「WTCR(世界ツーリングカー・カップ)に参戦したこの2年間も、彼らとはつねに連絡を取り合う仲で、メンバーとも交流が続いてきた」
「そしてマット(・ニール)とはともにBTCCで成功を分かち合った戦友でもある。本物の友情を抱く相手に対し、心から早期の回復を願っているし、彼が開幕戦を快適に戦えるよう準備を進めたい」
「僕はまだFK8ホンダ・シビック・タイプRをドライブしたことがないし、初めてステアリングを握るのが本当に楽しみだ。マットもダン(・カミッシュ)もどれほど素晴らしいマシンかを教えてくれたし、僕が最後にドライブして2015~16年に連覇を果たしたFK2型とどう違うか、その比較も興味深いだろうね」
BTCCに参戦する各陣営ともに2月末から本格的なオフシーズンテストに突入しており、チーム・ダイナミクスは2月27日からドニントンパークで2020年のプログラムを始動。現地にはニールも帯同しており、このオフにFK8型に導入されたアップグレード・パッケージの評価が進められている。