石木ダムの費用対効果 計算は「虚構」再検証を 科学者の会 佐世保市に意見書

川野課長の前で意見書を読み上げる嶋津氏(右)=佐世保市水道局

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が利水面の事業再評価でまとめた費用対効果について、全国の研究者らでつくる「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は2日、事業効果が高いとする計算は「虚構」とし、再検証を求める意見書を同局に提出した。
 同会は河川工学が専門の今本博健・京都大名誉教授らが共同代表で、約120人の賛同者で発足したという。意見書は朝長則男市長宛て。会員で、水源開発問題全国連絡会共同代表の嶋津暉之氏が同局を訪れ、提出した。
 同局は2月、再評価の検討委員会に対し、「全体事業費に対し、効果は5.32倍」とする費用対効果を提示。検討委は水源不足を示す水需要予測などと併せて審議し、「妥当」と答申した。
 同局は、前回2012年度の再評価で効果を13.84倍と算出しており、意見書では「今回と結果が大きく変わるのは、計算のずさんさを示している」と指摘。嶋津氏は「現実にはありえない仮定が設けられ、巨額の渇水被害を計算し、ダムの便益を求めている」と問題視した。
 同日は、事業に反対する県内外の11団体も検討委の審議は「不十分」とし、やり直すよう求める申し入れをした。
 科学者の会、11団体からそれぞれ文書を受け取った同局水源対策・企画課の川野徹課長は「対応を検討する」と述べた。

© 株式会社長崎新聞社