横浜市営地下鉄脱線、点検責任者を書類送検 線路の装置撤去せず

 横浜市営地下鉄ブルーラインで昨年6月、レールにかぶせたまま放置した保守点検用装置に電車が乗り上げ脱線した事故で、神奈川県警捜査1課と泉署は3日、業務上過失往来危険の疑いで、点検作業の責任者だった市交通局の男性職員(52)=横浜市栄区=を書類送検した。

 書類送検容疑は、昨年6月6日午前2時ごろから同市泉区の下飯田-立場間の線路上で行った、保守点検用の車両を本線に入れるための「横取り装置」の定期点検で、作業員2人に必要な指示を与えないなど、漫然と作業を実施。自身がレール上にかぶせた装置を撤去せずに作業を終え、列車の進行に危険を生じさせた、としている。

 市や運輸安全委員会の報告書によると、湘南台駅発の始発電車(乗客121人)が同日午前5時25分ごろ、放置された装置に乗り上げて脱線し、運転士が軽傷を負った。全線での運転再開は4日後で、24万人余りに影響した。

 県警によると、男性は装置をかぶせたままにした経緯について「覚えていない」と話しているが、作業責任者として安全確認を怠り、危険を生じさせたことは認めている。市交通局の城博俊局長は「職員が書類送検されたことを重く受け止め、組織一丸で再発防止と信頼回復に取り組む」とコメントした。

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