ブリュワーズ・イェリッチの契約延長が球界に与える影響とは

2017年オフにマーリンズからブリュワーズにトレードされたクリスチャン・イェリッチは、ミルウォーキーの地でさらなる成長を遂げて球界を代表する強打者の1人となり、球団史上最高額となる9年2億1500万ドルでの契約延長が目前になっていることが報じられている。2018年にナショナル・リーグMVPを受賞し、同年から2年連続で首位打者に輝いているイェリッチがブリュワーズとの契約延長に応じたことは、球界にどのような影響を与えるのだろうか。

まず、ブリュワーズはインディアンスのように自前の主力選手を有望な若手選手と交換して「再建期」と「勝負モード」を交互に繰り返すやり方ではなく、マイク・トラウトと長期大型契約を結んだエンゼルスのように常に勝利を目指す道を選択したと言える。インディアンスは今オフ、サイ・ヤング賞2度の実績を誇るコリー・クルーバーをトレードでレンジャーズへ放出し、スター遊撃手のフランシスコ・リンドーアにもトレードの噂が絶えないが、ブリュワーズはイェリッチの放出ではなく、イェリッチとの長期大型契約を選択した。

また、ブリュワーズと同じナショナル・リーグ中部地区の球団にとっては、ブリュワーズが常に地区優勝を争うライバルとして存在することを意味する。ブリュワーズがイェリッチを失って戦力ダウンし、「再建期」に突入することは期待できなくなったため、カブスやカージナルスはポストシーズンへ進出するためにブリュワーズに対抗できるチーム作りを継続する必要がある。

そして、ブリュワーズは単なるスモールマーケットの1球団ではなくなったと言える。現在のブリュワーズは、イェリッチのようなスター選手が留まることを望み、それに相応しい金額の契約をオファーできる球団である。球界を代表するスター選手たちが大型契約を手にして揃ってニューヨークやボストン、ロサンゼルスへ旅立った時代は過去のものとなり、ブリュワーズのような一見「地味」に見える球団でもスター選手と長期大型契約を結ぶことができる時代となっているのだ。

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