米軍、タリバンを空爆 アフガン和平に向けた合意後で初

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米軍は4日、アフガニスタンで反政府勢力タリバンに対する空爆を実施した。同国で長年戦争を続けてきたアメリカは、2月末にタリバンと和平に向けた合意に署名。ドナルド・トランプ米大統領は3日にタリバン指導者と電話会談し、「とてもよい会話」をしたと述べたばかりだった。

米軍の報道官は、ヘルマンド州で4日、空爆を実施したと述べた。タリバンによるアフガニスタン政府軍への攻撃を受けたもので、アフガニスタン治安部隊の検問所への攻撃を防ぐための「防衛的な攻撃」だとしている。

空爆は、アメリカとタリバンが暴力行為の削減で合意してからの11日間で初めて。この合意を経て、双方は2月29日に署名した合意に至った。

タリバンの広報担当者はツイッターで、「紛争の激化を防ぐため、合意のすべての項目を次々と実施する予定だ」と述べ、事態を悪化させないよう呼びかけた。

また、「もう一方の当事者も、全体的な和平とアフガニスタン人の基本的権利の享受への道筋をつけるため、合意実施における障害を取り除くべきだ」と付け加えた。

空爆で死傷者が出たのかは不明。

パートナー防衛のためと説明

アフガニスタン駐留米軍のソニー・レゲット報道官はツイッターの声明で、アメリカはなお「和平に向け努力している」が、アフガニスタンでのパートナーを防衛する責務があるとした。

また、タリバンはヘルマンド州のアフガニスタン軍の検問所を3日だけで43回攻撃したと説明。タリバンが和平に向けた合意の機会を「ふいにしようとしている」ようだと述べた。

タリバンは、そうした攻撃について肯定も否定もしていない。

18年以上にわたってアフガニスタンで戦闘を続けてきたアメリカとタリバンは、カタールで2月29日、「和平をもたらす合意」に署名した。

アメリカと北大西洋条約機構(NATO)は、タリバンによる合意の順守を条件に、14カ月以内に部隊を撤退させることで合意した。

しかしそのわずか数日後には、タリバンがアフガニスタン政府軍への攻撃を再開し、部分的休戦は破られた。

パキスタンとアフガニスタンで取材するBBCのシカンダー・カーマニ特派員は、アメリカとアフガニスタンの当局者はともに部分的な休戦や「暴力行為の削減」が継続すると期待していたと説明。

だが、合意文書には「暴力行為の削減」が盛り込まれず、あいまいにされていることが、現在の混乱した状況を招いた一つの原因だと解説した。

捕虜交換めぐり不一致

合意をめぐって主な障害となっているのが、捕虜交換をめぐる不一致だ。

合意では、タリバンの捕虜約5000人とアフガニスタン治安部隊の捕虜約1000人を今月10日までに交換するとした。

しかし、アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は1日、「捕虜5000人を解放すると約束はしていない」と発言。タリバンは2日、最初に捕虜が解放されない限り、政府との和平交渉には臨まないと表明した。

アメリカとタリバンの合意には捕虜交換が盛り込まれたが、これとは別にアメリカとアフガニスタンが出した宣言では、アフガニスタン政府は捕虜解放の「実現可能性」について交渉することしか約束していない。

タリバンがアフガニスタン政府軍への攻撃を繰り返したと報じられた後の3日、トランプ米大統領は和平への道筋をめぐり、タリバンの指導者と電話会談に臨んだ。

トランプ氏は会談について「とてもよい会話」だったと説明。一方、タリバンは、アフガニスタン政府とタリバンの交渉が予定どおりに進むよう、トランプ氏がマイク・ポンペオ国務長官にガニ大統領と協議させることを約束したと述べた。

(英語記事 US air strike targets Taliban days after deal