社説:就活生の戸惑い 企業ネット発信工夫を

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 2021年卒業予定の学生の就職活動が本格スタートしたが、就活生たちの間からは戸惑いや不安の声が聞こえてくる。

 新型コロナウイルスの感染拡大で自粛ムードが広がり、大型の企業説明会などの中止が相次いでいるからだ。

 企業との出会いの場が減ることで、学生たちにとって選択の幅が狭くなり、どんな仕事、職場環境なのか感触をつかむのも難しくならないか。

 そうした懸念に応えて、企業側は情報に工夫を凝らし、これまで以上にきめ細かく、就活生たちに提供してほしい。

 今年は経団連の就活指針が廃止され、代わって政府が初めて主導する就活日程となった。3月1日に会社説明会を解禁、6月に筆記試験や面接の選考、10月に内定解禁と定められている。

 ところが新型コロナウイルスの拡大に伴って、例年のような就活は見通せなくなった。

 学生の街、京都の大学キャンパスでも、大手・中堅の企業が多く参加、数万人の学生が集まる見込みだった企業説明会が中止を余儀なくされている。

 就活生には志望先を絞り込む、あるいは視野を広げる機会でもあり、困惑していることだろう。

 合同説明会を中止した就職情報会社は、インターネットで企業をアピールする方法に変更している。自社を紹介する様子を生配信したり、サイトに紹介動画を掲載したりといった手を打っている。

 それでも、学生からは「ネットの情報だけでは判断に迷う」との声が聞かれる。オンライン会議のシステムなど、企業と就活生が対話できる仕組みを、もっと活用してはどうか。

 企業や大学は情報格差が出ないように努めてほしい。一方で就活生たちは情報を読み解く力をつける必要があるだろう。

 実は、すでに企業の多くがインターンシップやセミナーで学生と接触し、中には選考を始めている。内定を得た学生も少なくないという。人手不足で学生の「売り手市場」が続いており、就活の早期化は止まらない。

 ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が長引けば、採用への影響もあり得る。人員計画を見直す企業も出てくるかもしれない。そうした場合、企業側はすみやかに情報を提供すべきだ。

 先行き不透明だからこそ、就活生は冷静に企業情報を見極めてほしい。学生の本分である勉学も忘れないでもらいたい。