女子生徒(18)が亡くなった現場近くの歩道は、事故から1カ月がたった5日朝も追悼の献花で埋まっていた。女子生徒が通っていた県立高校では2日に卒業式があったばかり。この日は友人とみられる女性が花を手に家族と訪れ、冥福を祈る姿もあった。
事故直後に弔問し、「行政として最大限対応する」と被害者遺族のケアに尽力することを誓っていた逗子市の桐ケ谷覚市長はこの日、総務省や国土交通省に事故現場の斜面工事の財政支援などを求める要望書を提出。急傾斜地崩壊対策などを対象とする「緊急自然災害防止対策事業債」の活用などについて要請した。市長によると、国側は「可能な限りの対応はしたい」と応じたという。
要請後に取材に応じた市長は「かなり大掛かりな工事になる見込みだが、(斜面を所有する)マンションの管理組合で費用負担するのは財政的に難しい。国に重く受け止めてもらえたのは心強い」と話した。
また市長は、代理人弁護士を通じて遺族とやりとりを続けているとし、「生徒の死を無駄にしないのが最大の使命だ。安心を確保するための国の支援を求めたい」と話した。
事故が起きた斜面は「管理や安全対策を所有者が行うのが基本」(県、市)という民有地だが、市は管理組合の合意形成に時間を要すると判断し、組合の承諾を得て今月2日に応急復旧工事を着工。斜面全体を強化する本格工事の設計も進めている。市と組合がそれぞれ加入する保険の適用が可能かなどを検討した上、費用負担の協議を進めるという。
一方で、組合側の遺族への対応方針などは、これまでの市側との話し合いなどでも明らかになっていない。組合が管理委託するマンション管理会社の広報は取材に対し、「今はお答えできる状況にない」としている。