中韓からの入国制限 長崎県関係者「観光また振り出しに」

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、中国、韓国からの入国が制限されることになった。「いつまで続くのか」-。両国からの訪日客減少や国内客のキャンセルにあえぐ長崎県の観光関係者らからは5日、ため息が漏れた。
 国境の島・対馬市。2018年に過去最多の約41万人の韓国人観光客が訪れたが、日韓関係悪化で昨年は約26万人に激減した。こうした中での政府の追加措置に、対馬観光物産協会会長の江口栄さん(65)は「年明け後は韓国人観光客も再び増え始めていたが、これでまた振り出しに戻った」とため息。国内客についても「感染拡大を受けてキャンセルが相次いでいる。しばらくは辛抱の時だ」と肩を落とした。
 上対馬町でゲストハウスを経営している韓国籍の崔龍五(チェヨンヲ)さん(50)も、経済への影響について「国内外に広がるだろうが、特に対馬の経済体力は弱い。影響は大きいだろう」と懸念を隠せない。
 不安は県内のほかの観光地にも広がっている。雲仙市の小浜温泉の旅館関係者は「2月末以降、国内客の動きも止まり、4月まで予約名簿は真っ白。いつまで続くのか、まったく先が見えない」。別の旅館オーナーは「感染防止のためには仕方ない措置で、むしろ遅いくらい」と評価しつつも、「疫病のまん延は歴史上の出来事だと思っていた。まさか自分たちの身に降り掛かってくるとは」と表情を曇らせた。

 


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