西武新助っ人ギャレット、勝利の方程式入りへの覚悟 「米国の投手が嫌がる」新球習得

西武のリード・ギャレット【写真:宮脇広久】

最優秀救援投手2回の豊田コーチのアドバイスが奏功

■広島 2-1 西武(オープン戦・6日・マツダ)

 西武の新外国人右腕、リード・ギャレット投手(前レンジャーズ傘下3A)が6日の広島戦(マツダ)でオープン戦初登板。5回1死一塁の場面で登場すると、1回2/3を無安打3奪三振無失点に封じ、“勝利の方程式”入りへ視界が開けた。

 5回2死一塁で小園から空振り三振を奪った外角高めの速球は、なんと157キロを計測。これには「スピードガンの間違いじゃない? そんなに出ないだろ。1球くらいじゃだまされないよ」とおどけた辻監督だったが、6回に野間を遊ゴロに仕留めたフォークボールに注目。「日本に来てから投げ始めたフォークに、いいのがあった。大したもんだよ」と称えた。

 実際、ギャレットが日本で成功できるかどうかは、この“急造フォーク”の出来にかかっていると言ってよさそうだ。古巣レンジャーズの環太平洋地域担当スカウトで、かつて広島でブラウン元監督の専属通訳を務めたこともある古河有一氏は、2月のキャンプの段階で「米国の投手は肘に負担のかかるフォークを投げたがらない傾向が強いが、ミートのうまい日本の打者相手にツーシームやカットボールなど小さい変化だけでは捉えられてしまう。私はギャレットに『フォークを習得すべきだ』とアドバイスし、彼も『わかった』と言っていたが、果たしてどこまで踏み込めるか」と指摘していた。

 ギャレットは「去年もスプリットを投げていた時期はあったが、あまり落ちなかったので、投げるのをやめていた。2日前、豊田(清投手コーチ)さんのアドバイスで握り方を変えたら、感触が良かったんで、30球くらい練習してきたよ」と説明するのだから、急造もいいところ。それでも、現役時代に西武の守護神としてフォークを武器に最優秀救援投手のタイトルを2度獲得した豊田コーチの存在は、今後もギャレットにとって頼もしいものになる。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて家族の来日が延期

 また、西口投手コーチは「『回をまたいで投げたい』とギャレット本人が言ってきた。(昨季、セ・パ両リーグを通じ最多の81試合に登板した)平井に『あいつ、おまえのポジションを狙ってるぞ』と言ってやったよ」と、タフネスと意欲を買う。

「6、7、8、9回はおもしろい陣容になりそうだ。これで先発が安定してくれたら、言うことないけどね」と西口コーチ。もともと、チーム防御率が2年連続リーグワーストに沈んでいる西武投手陣だが、昨季防御率4.64の先発陣に比べると、3.88の救援陣は安定している。この調子なら、ギャレットは昨季30セーブの増田につなぐセットアッパーの役割を担う可能性もあり、さらにレベルアップが期待できる。

 そんなギャレットにとって唯一の悩みは、メアリー夫人と1月29日に誕生した第1子の長男ボウ君が公式戦開幕前に来日予定だったのだが、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ5月に延期となったこと。「家族に会えないのは残念」と肩を落とす。この新外国人、精神面のケアさえうまくいけば、貴重な戦力になりそうだが……。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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