静かな戦い、構図に変化 熊本県知事選

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新型コロナウイルス対応で異例の選挙戦となった知事選。県民が次の4年間を託すリーダーを待つ県庁=6日、熊本市中央区(池田祐介)

 5日告示された熊本県知事選は、元熊本市長で新人の幸山政史氏(54)と4選を目指す現職の蒲島郁夫氏(73)=いずれも無所属、届け出順=による一騎打ちとなった。2016年の前回選挙に続く2度目の対決。新型コロナウイルスの感染拡大で両陣営が運動を大幅に縮小する異例の選挙戦だが、地域によっては前回とは異なる“静かな戦い”が繰り広げられている。

【県 南】攻勢強める新人

 幸山氏は、上天草市議の半数となる8人、宇土市議の18人中10人から支援を取り付けて攻勢を強める。八代市でも市議計8人が幸山氏支持に回った。県南は首長経験者の一部も支援しており、陣営幹部は「前回敗れた後、頻繁に足を運んだ成果が出つつある。支持者が点から線、さらに面へと広がってきた」と手応えを口にする。

 一方、蒲島氏陣営は上天草と宇土の両市を「激戦区」と位置付ける。2月に本人も参加した両市での県政報告会には、蒲島氏を支援する自民党県連の前川收会長が自ら乗り込み、友好団体にハッパを掛けた。

 「県南の首長は全員現職側だ。新人の勢いは両市にとどまる」(県連幹部)との見方もあるが、現職本人の運動は新型コロナ対応で制約されるため、自民は国会議員や県議を軸に地盤固めを急ぐ。

【熊本市】市議にしこりも

 県内有権者の4割を占める大票田。自民は衆院1、2区ごとに国会議員を頂点とした選対本部を置いて友好団体の支持固めを急ぐ。同市に県議、市議計11人を抱える公明党県本部も引き続き現職を支援する。

 ただ、盤石の体制にも不安材料はある。市議会が議決した女性市議失職を蒲島氏が18年に取り消したことに、「市議会の総意が軽んじられた」と、自民市議の一部に不満が残っているためだ。

 一方、個人後援会や出身高校のOB組織を中心に保守層が地盤の幸山氏。今回はそれに加え、野党系3党の県組織が支援に回った。県議会第2会派の流れをくむ一部県議や立憲民主党市議も新人支援で動く。

 それでも“野党結集”は未知数。連合熊本が現職を推薦したことで様子見の議員もおり、共産内には市長時代に幸山氏と対立した過去のしこりも残る。

 非自民の元衆院議員松野頼久氏は中立の姿勢。個人後援会も北部地区は幸山氏、細川護熙元首相から続く支援者は蒲島氏、などと対応が割れている。

【県 北】現職厚い組織戦

 蒲島氏の出身地・山鹿をはじめ、荒尾、玉名、菊池、合志、阿蘇の全6市長の支持を取り付けた現職陣営が分厚い組織戦を進める。荒尾玉名地域の無所属県議2人も現職を支援する。前回幸山氏を支援した玉東町長は「中立」の立場を取る。

 荒尾市は昨夏の参院選熊本選挙区で唯一、野党統一候補が自民候補の得票を上回った。幸山氏は同市議4人が所属する新社会党の支持者らを足掛かりに浸透を図る。(知事選取材班)