新型コロナに揺れる球界 プロ野球からアマチュア、海外まで様々な対応

西武・松坂大輔【写真:宮脇広久】

ジェット風船の使用自粛からファンサービス自粛、興行にも影響

 新型コロナウイルスの脅威は、世界中に影響を与えている。日本や韓国、アメリカ、プロからアマチュアまで、球界も様々な対応策を打ち出している。

 プロ野球では、新型コロナウイルス感染拡大防止措置としてオープン戦全72試合、春季教育リーグ全試合を無観客試合として開催している。また2日には、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と共同で、「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設置し、専門家チームを置くことを発表した。

 流行の兆しを見せた2月上旬には練習試合、オープン戦でのジェット風船の使用自粛を阪神ら複数球団が呼びかけ、楽天は1軍公式戦でのジェット風船使用自粛の可能性を発表した。またサイン、握手、写真撮影、プレゼントの直接の受け渡し等のファンサービスの自粛を多くの球団が発表している。

 興行面にも大きな打撃が出ている。巨人は2月29日から一般発売された、東京ドーム開催の巨人戦6試合(3月27日~29日・ヤクルト戦、3月31日~4月2日・阪神戦)のチケットについて、「お並びいただく列が数百人を超えることが予想される」として窓口販売を中止。オンラインとコンビニ等では予定通り発売されている。さらに各球団で激励会や壮行会などのイベントも中止となっている。

 また、製造ラインや輸送への影響も大きく、中日は来場者プレゼントの受け渡し方法の変更の可能性を球団公式サイトで発表。3月24日の名古屋ドーム開幕戦でプレゼントを予定していた「昇竜松明(たいまつ)」は当日配布ができなくなったとして、後日配布を予定した。その他の球団でも同様のケースで来場者プレゼントの配布方法を変更するなど対応が迫られている。

春のセンバツにも大きな影響、韓国やアメリカでは…

 日本高野連は4日、第92回選抜高校野球大会(19日から甲子園)の開催について、無観客で開催する方針とした。正式決定は11日に再度協議後の発表となる。また開会式や甲子園練習の中止、組み合わせ抽選は主催者の代理で行うなど、通常とは異なる策がとられている。また高校では部活動の自粛の動きもあり、関西の名門、報徳学園は硬式野球部を含めた全部活動を3月19日まで自粛している。

 さらに大学野球では、16日から18日まで平塚で開催する予定だった野球日本代表「侍ジャパン」大学代表の選考合宿を中止。選手選考については昨年12月に行われた松山合宿での内容を考慮したうえで監督会幹部と代表スタッフによって行われることとなる。

 海外では大幅な変更から、注意深く見守る場所まで様々だ。国内で感染者が5000人を超えた韓国プロ野球(KBO)はオープン戦の全50試合を中止。米メディア「スポーツ・イラストレイテッド」によれば、アメリカ・フロリダ州フォートマイヤーズでキャンプを行う起亜タイガースは、当初の帰国予定日から8日延長し、14日まで滞在としているという。

 またMLBでは中止や延期などは出ていないものの、レッドソックスは新型コロナウィルスの感染防止のため、台湾の二刀流選手として知られている劉致榮投手を米国内のホテルで隔離していると米紙「ボストン・グローブ」など複数メディアが伝えた。また各球団の幹部たちには3日(日本時間4日)の朝に、今後推奨される対応策が配られたと米メディア「ESPN」が伝えた。その中には、選手がサインする時にファンから直接ボールやペンを受け取らず、握手しないという具体的な策やフロントオフィスが地元の感染症専門家に相談するなどの対応策が記されていた

 開幕が近づき、選抜高校野球大会も目前に迫る中、新型コロナウイルスの猛威はいまだ終息の気配をみせておらず、今後も中止や延期など、慎重な策がとられそうだ。(Full-Count編集部)

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