伊藤美誠、2大会連続優勝なるか<卓球・カタールオープン最終日見どころ>

写真:伊藤美誠(スターツ)/提供:ittfworld

<ITTFワールドツアープラチナ・カタールオープン 2020年3月3日〜8日>

大会5日目の7日は、男子シングルス準々決勝、女子シングルス準決勝、ダブルス種目の決勝戦が行われた。

5日目男子シングルス総括

写真:許昕(中国)/提供:ittfworld

男子シングルス準々決勝には、日本選手の登場はなく、世界のトップランカーの熱戦が続いた。

2回戦で丹羽孝希(スヴェンソン)を下した世界ランク1位の許昕(シュシン)は、フランスのエース、シモン・ゴジと対戦。2019年の世界選手権では敗れた相手に対し再びの大熱戦を展開した。ゴジにフルゲームまで持ち込まれるも、最後は許昕がしっかりと締め、見事リベンジを果たした。

また、現在T.T彩たまでプレーするイングランドのエース、リアム・ピッチフォードは、琉球アスティーダでプレーする台湾のベテラン、荘智淵(チュアンチーユエン)とのTリーガー対決を圧巻のストレート勝ちで制し、自身初のプラチナ大会シングルス準決勝へと駒を進めた。

写真:王楚欽(中国)/提供:ittfworld

また、2回戦で世界王者の馬龍(マロン・中国)をフルゲームの末撃破した若手左腕・王楚欽(ワンチューチン・中国)は、こちらも2回戦で水谷隼(木下グループ)を4-3で破った梁靖崑(リャンジンクン・中国)と対決。中国首脳陣へのアピールのためにも負けられない両者の戦いは、王楚欽が4-2で制した。

世界ランク2位の樊振東(ファンジェンドン・中国)は、スウェーデンのジョン・パーソン相手に各ゲーム競り合いながらも4-1で勝利し、順当に準決勝へ進出した。

5日目女子シングルス総括

写真:伊藤に対し完敗を喫した丁寧(中国)/提供:ittfworld

女子シングルス準決勝には、伊藤美誠(スターツ)が出陣。リオ五輪女王の丁寧(ディンニン・中国)相手に、異次元の前陣スマッシュを披露した。ラリー戦でも強さを見せた伊藤が第3ゲームを11-0で奪うなど、女王を全く寄せ付けず完勝を収め、ワールドツアー2大会連続の決勝進出を決めた。

また、世界ランク1位の陳夢(チェンムン・中国)は、4位の王曼昱(ワンマンユ・中国)と熱戦を演じた。試合は、2-2から陳夢がギアを入れ直し勝利を収めた。

5日目ダブルス総括

写真:混合ダブルス優勝を果たした水谷隼/伊藤美誠ペア/提供:ittfworld

男子ダブルス決勝戦は、馬龍/許昕の最強中国ペアと、イングランドのピッチフォード/ドリンコールペアの対決に。イングランドペアが1ゲームを奪う健闘を見せるも、やはり卓球帝国の壁は高く、中国ペアが堂々の優勝を果たした。

女子ダブルス決勝戦では、日本の長﨑美柚(JOCエリートアカデミー/大原学園)/木原美悠(JOCエリートアカデミー)のダブルみゆうペアが、準決勝で石川佳純(全農)/平野美宇(日本生命)ペアを破った中国の王曼昱/朱雨玲(ジュユリン)ペアと対戦。リードされても笑顔絶やさず熱戦を演じたが、王曼昱の強烈なチキータの前に1歩及ばず。価値ある準優勝となった。

混合ダブルス決勝戦では、日本の水谷隼/伊藤美誠が中国の王楚欽/孫穎莎(スンイーシャ)ペアと対戦。まだまだ進化を続ける30歳水谷が持ち前の安定感で、伊藤の伸び伸びしたプレーをアシストする。マッチポイントでは、水谷の回り込んでの前陣カウンターが炸裂し、両手を突き上げた日本ペア。嬉しい五輪初優勝を決めた。

大会最終日となる8日は、男子シングルス準決勝と決勝戦、女子シングルスの決勝戦が行われる。

男子シングルス組み合わせと見どころ

写真:リアム・ピッチフォード(イングランド)/提供:ittfworld

男子シングルス準決勝組み合わせ

許昕(中国) – リアム・ピッチフォード(イングランド)

樊振東(中国)- 王楚欽(中国)

男子シングルス、注目はT.T彩たまでもプレーするイングランドのエース、リアム・ピッチフォードだ。

今大会、2回戦でベテランのブラディミル・サムソノフ(ベラルーシ)を下し勢いに乗ると、準々決勝では荘智淵とのTリーガー対決をストレートで締め、世界トップランカーが集うプラチナ大会において、イングランド初となる準決勝進出を果たした。対するは世界ランク1位の許昕。ピッチフォードは、男子ダブルスとの2冠を狙う最強左腕の壁を越えられるか。

また、馬龍、梁靖崑に続く先輩越えを狙う王楚欽は、世界ランク2位の樊振東と対戦。一気に優勝まで駆け上がるか、樊振東が実力を見せつけるか、注目の一戦だ。

女子シングルス組み合わせと見どころ

写真:2大会連続優勝を狙う伊藤美誠/提供:ittfworld

女子シングルス決勝戦組み合わせ

伊藤美誠 - 陳夢(中国)

女子シングルス決勝戦にはハンガリーオープン優勝の伊藤美誠が登場する。相手は世界ランク1位の陳夢。卓球帝国・中国の中でも、今最も強い選手といっても過言ではないだろう。直近では、2019年のグランドファイナル準決勝で対戦しており、陳夢が伊藤を4-1で下している。

写真:世界ランク1位の陳夢(中国)/提供:ittfworld

しかし、今大会の伊藤は、準決勝で丁寧を4-0で破るなど、さらにスマッシュ攻撃の精度が増している印象だ。卓球帝国の最後の壁を伊藤は突破することができるのか。

いよいよカタールオープンも大詰め。王者に輝くのは一体誰なのか、目が離せない。

カタールオープン5日目 結果

男子シングルス準々決勝

○許昕(中国) 4-3 シモン・ゴジ(フランス)
○王楚欽(中国) 4-2 梁靖崑(中国)
○リアム・ピッチフォード(イングランド) 4-0 荘智淵(チャイニーズタイペイ)
○樊振東 4-1 ジョン・パーソン(スウェーデン)

女子シングルス準決勝

○伊藤美誠 4-0 丁寧(中国)
○陳夢(中国) 4-2 王曼昱(中国)

男子ダブルス決勝戦

○馬龍/許昕(中国) 3-1 リアム・ピッチフォード/ポール・ドリンコール(イングランド)

女子ダブルス決勝戦

長﨑美柚/木原美悠 1-3 ○王曼昱/朱雨玲(中国)

混合ダブルス決勝戦

○水谷隼/伊藤美誠 3-1 王楚欽/孫穎莎(中国)

文:ラリーズ編集部

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