英国ツーリングカーBTCC向けの新型『フォード・フォーカスST』がシェイクダウン。2020年全グリッドが確定

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の2020年シーズンに向け、新型モデル『フォード・フォーカスST』の投入を発表していたモーターベース・パフォーマンスは、ブランズハッチでオフシーズンテストを実施。第4世代に進化したニューモデルのシェイクダウンを終えるとともに、全30台が並ぶグリッド上で最後のドライバーとして、2016年以来の復帰となるアンディ・ニートの加入をアナウンスした。

 3月4日にブランズハッチのトラックに運び込まれた2020年型NGTC規定『フォード・フォーカスST』は、2020年シーズンのオリー・ジャクソン車になる予定の48号車で、復帰移籍のロリー・ブッチャー車、新加入アンディ・ニート車は現在もケント州ルータムに拠点を置くファクトリーで急ピッチの製造が続けられている。

 この日はジャクソンがシェイクダウンを担当し、そのまま午前中のテストプログラムを消化。午後からはブッチャーがマシンをシェアし周回を重ねた。また、トラックに姿を見せたニートは2019年型の『フォード・フォーカスRS』のステアリングを握り、2016年開幕戦でドライブしたチーム・ダイナミクスのFK2型ホンダ・シビック・タイプR以来となるBTCC車両での“リハビリ”に励んだ。

 この2020年最初のテスト直後に、モーターベース・パフォーマンスはニートの正式加入をアナウンス。WSR(ウエスト・サリー・レーシング)のBMWや、チーム・エーオンとして参戦したアリーナ・モータースポーツのフォード・フォーカス、トリプルエイト・レーシングのMGなどで戦ってきた45歳のベテランに、3台目の新型モデルを託すことを決めた。

「あれからしばらく時間が経ってしまったが、BTCCには未完成のままやり残した仕事があるように感じていた」とシリーズ復帰への意気込みを語ったニート。

「ここまで息子アイデンのカートキャリアを監督し、急成長する姿を見守ってきたが、BTCCに戻る可能性についてはつねに頭の片隅にあったんだ。自分の能力を証明する場所を求めているわけではないが、モーターベースは今の私にピッタリの場所だと思ったんだ」

ファクトリーで新型マシンのシート合わせを行った2019年インディペンデント王者のロリー・ブッチャー
完成した2020年型初号機はオリー・ジャクソン車となり、本人がシェイクダウンを担当した

「デビット(バートラム代表)と話をして数分以内に、私自身の中にここで成功するための飢えがあり、チームの求めるものが自分の野望と一致することを感じた。このチームには本当に素晴らしい、励みになる雰囲気が溢れている。我々は素晴らしいフィットを見せると確信しているよ」

 一方、代表のバートラムも「我々にとって(新型を投入する)非常にエキサイティングなシーズンに、アンディのような経験豊富な男を迎え入れることができて満足している」と歓迎の意を示した。

「アンディはこれまで複数のチームに所属し、MG時代にはジェイソン・プラトらと渡り合うなど、いくつかの優れた組織で豊富な経験を積んできた。初期のミーティングから、我々との仕事に非常に意欲的かつ熱心に取り組む姿が印象的だった」と、起用の理由を明かしたバートラム代表。

「長らくBTCCの最前線から遠ざかっていたこともあり、彼自身『すぐにスピードを取り戻す』などという幻想は抱いていない。そんな彼に対し、まずは旧型モデルからプログラムを開始し、彼が最後にドライブしたホンダからNGTC規定がどのように進展を遂げたか、体感してもらうつもりだ。彼の経験がチームへの素晴らしい後押しになると確信している」

 また、2019年はシーズン後半戦で欠場したサム・トルドフの代役を務め、2020年に向けチーム・ハードに加入していたマイク・ブッシェルが、2月に心筋炎と診断されたことを受け、オフテストから開幕戦に向けてのドライブを断念。チームはその代役としてTCR UKなどに参戦した27歳のハワード・フューラーを起用すると発表した。

「BTCCでの成功を追求していたのに、その前にもうひとつ別のハードルができたのをとても不満で残念に思う」と心境を語ったブッシェル。

「2020年型フォルクスワーゲンCCのアップデートにとても手応えを感じていた。でも2月の診断で僕の心臓には炎症による損傷が残っていると診断された。レースライセンス保持ばかりか、現時点では身体的にレースに耐えられず、健康を優先しなくてはならない状況だ。チームとハワードが開幕に向け最善を尽くしてくれるのを願っている」

テスト終了後には、2016年以来の復帰となるアンディ・ニートの加入がアナウンスされた
2019年終盤戦にはロリー・ブッチャー(左)のチームメイトも務めたマイク・ブッシェル(右)。病という思わぬ難敵との勝負にも勝利するはずだ

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