米軍根岸住宅地権者、8割「返還は画定後に」 国有地・民有地、複雑に混在

米軍根岸住宅地区

 米軍根岸住宅地区(横浜市中・南・磯子区、約43ヘクタール)の返還に絡み、市が地権者の意向を調査した結果、回答者の8割超が、位置や面積を画定してから土地を引き渡すよう希望していることが3日、分かった。引き渡し後に地代収入が途絶えることを十分把握していない地権者が多数いることも判明。市は国に丁寧に説明するよう求めるとした。

 市は跡地利用基本計画の策定に生かすため、把握する地権者175人を対象にアンケートを実施、110人が回答した。

 その結果が3日に開かれた市会基地対策特別委員会で公表された。

 同地区は、国有地と民有地がモザイク状に混在し、境界線を引くことすら困難な状況にある。アンケートでは、84%が土地の位置や面積などをはっきりさせてから返還するよう要望。地権者も懸念していることがうかがえる。

 回答者の75%が60歳以上で、地権者の高齢化が進んでおり、生活を地代収入に頼る割合は「大きく」「ある程度」が計76%を占めた。

 日米合同委員会は昨年11月、同地区の返還を前提に、共同使用に向けた協議を始める方針を打ち出した。先月15日に合意し、国は今後、建物の取り壊しなど原状回復作業を開始する。

 こうした国の動きについて、22%が日米合意を、32%が作業着手を「知らなかった」とそれぞれ回答。土地の引き渡しまでの手続きや、地代収入が途絶えることを「あまり把握できていない」「よく分からない」も計52%と、過半を占めた。また引き渡し後の土地の活用方法やかかる固定資産税に不安を抱く人も多かった。

 返還後のまちづくりに望むものは「生活手段に密着した交通手段の導入」が最多。次いで緑の保全、道路環境の整備などだった。結果を踏まえ、市は「地権者は高齢層が多数を占め、国の動きを十分に認識していない人も多い」とし、引き続き周知に努めるとともに、国に情報提供を求める考えを示した。

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