《新型コロナ》非日常のときこそどう過ごせばいいか。そのヒントがこの古本屋にはある

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今回オススメする古本屋さんは東京石川台にある「タバネル」。2019年11月13日にオープンしたばかりのこの古書店には、直接チェコとドイツに買い付けにいった絵本もあるそう。そんな店主がオススメする一冊は『When Sadness Is at Your Door』。

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日常でなくなる、非日常の過ごし方

新型コロナウイルスの防止対策で、本を取り巻く状況も様変わりしています。上海の書店では開店休業状態。YouTubeで本を紹介し、オンライン販売に取り組む苦肉の策も報道されました。日本にも逆風が吹き荒れるなか、本のイベント中止だけでなく書店のSNSでは「本の売り上げが落ち込んだ」と投稿が相次いでいます。

当然ながら、自宅にこもっているだけでは気持ちが落ち込みそう。こんな非日常のときこそ、どんなふうに過ごしていけるのでしょう?

今回訪れる古本屋は、こんな試練を乗り越えるヒントが盛りだくさんかもしれません。2019年11月13日に東急池上線石川台駅にオープンした「古書タバネル」を紹介します。

平日のオープンは夜18:00から23:00まで。街に明かりを灯す

なぜ27歳店主は古本屋をはじめたのか

五反田駅から、3両編成の東急池上線に乗り換えて、石川台駅を降りると急こう配な坂道。よいしょと住宅街に、Googleマップを頼りに小道を抜けると、徒歩5分で大きなあんずの木が目印の「古書タバネル」に到着です。

ガラス戸を開けると、まずは大きなテーブルと、海外から買い付けたばかりの絵本に目がいきます。店内をぐるりと見回せば、単行本、図録、文庫、漫画、アート、国内外の絵本が並んでいます。

「当初はスカスカだった」棚も充実、現在の蔵書は約2,000冊以上

店主の中野さんは27歳の女性。なぜ彼女は古本屋さんをはじめることにしたのでしょうか。

自宅1階を改装し「やるしかない」

中野さんは幼いころから本が好きで、家族と一緒に、デパートに買い物に行けば、ひとり率先して本屋さんへ向かうほどだったとか。

装丁家を目指し美大へ入学しましたが、あいにく授業がなくなってしまい、それをきっかけに本を「つくること」から「売ること」に興味をもちはじめたのだそう。教授にその思いを打ち明けると「やりたいことのそばにいたほうがいい」とアドバイスを受け、一念発起。新刊書店や古書店で書店員の仕事をはじめるようになります。

国内外の絵本を自由に手に取って読むことができる

本屋さんでは「新しい本に触れられる」魅力がある一方で「並べないといけない本がある、不自由さ」に気づかされたと中野さんは言います。セレクトしたい想いが湧いてきたのが2017年のころ。ちょうど自宅の改装が必要になったタイミングで、家族の協力や理解も得て、なんと2018年5月に自宅1階を古本屋仕立てに改装してしまいました。

住居スペースからある柱、背を預けてじっくり本を選べる

初の海外へ、チェコとドイツへ買い付けの旅

古書店での修行を経て、とうとう2019年11月に約3年越しの夢を叶えます。「今では玄関からお客様がやってくるようになったんです」とすこし懐かしそうに中野さんは言いました。

家族の蔵書も棚に並ぶ。お客様からの持ち込みも増えた

すでに通いのお客さんもいて「まさか、ここで出会えるなんて」と思いがけない本との再会を喜んでくれる光景が嬉しいとのこと。チェコの絵本に興味をもちはじめたのも、常連さんとの会話がきっかけです。歴史を勉強しながら2020年2月には初の海外へ。まさかのドイツとチェコに絵本の買い付けに旅に出てしまいました。

美しい挿絵の絵本、本を通じて話も弾む

時にお店を訪れる人もこわごわ。「入りやすいように、これから均一棚も用意しようと思っています。お客様に教えられることばかり」とまだまだ発展の途中もうかがえます。

オリジナリティある古本屋へ

中野さんはさらりと「家族全員、絵が描ける」と笑います。驚いたことに、店内ロゴもお母様のお手製。

頭の上に本が重なった、体育座りした人物のシルエット

タバネルのアイコンは「しおりにしたとき、不気味にしたかった」という理由で決めたとか。男の人なのか女の人なのか、見た人によってイメージが変わるそう。

蝋引きの紙にインクを垂らし、オリジナルの紙から製本ができる

これからは本屋さんとしてのムードを大切にしつつ、「BOOKS+PAPER WORKS」と銘打った、オリジナル本や豆本がつくれるようなワークショップも開催する予定だとか。

ブックカバーは試作品、紙にもこだわる予定

しおりや、ブックカバー、ロゴも「見よう見まねでつくってみた」と話していましたが、完成度の高さに驚きます。さまざまな人々と交流し、生まれていくアイデアが実現することで、ココにしかない古本屋さんに育っていく予感がしました。

情報ではない、モノとしての本がいい

最後に、店主の中野さんからオススメの本を選んでいただきました。

『When Sadness Is at Your Door』は、少年のもとに突然“悲しみ”が訪れるユーモラスなストーリー。少年は“悲しみ”とどう付き合っていくのか、物語が進むにつれて意外なラストを迎えます。旅先ドイツでできた友人がオススメしてくれた、思い出深い一冊だそう。

日本では、『夏のルール』(岸本佐和子訳)として発刊された『Rules of Summer』。こちらも2人の少年が主役。夏休みに巻き起こるトラブルの数々、どうしたら素晴らしい夏になる? 大胆な色使いと豊かな想像力に、読者を遠い世界へ連れていってくれる作品です。

「タバネル」の居心地のよさは、やりたいことを自由に表現していく店主さんの成せるワザなのでしょうか。本をめくるようにお店の扉を開ければ、子どもも大人も、普段は知らない未知の発見ができるに違いありません。

基本情報

  • 『タバネル』
  • 住所:〒145-0065 東京都大田区東雪谷2-30-3
  • 営業時間:水・木・金 18:00 - 23:00
    土 13:00 - 20:00
  • 電話:080-3018-3071
  • 定休日:日・月・火
  • ウェブサイト
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店長オススメの一冊

  • 『When Sadness Is at Your Door』
  • 著者 Eva Eland
  • 出版社 Random House Books for Young Readers
  • 刊行年 2018年10月
  • 『Rules of Summer』
  • 著者 Shaun Tan
  • 出版社 Holder Children's Division
  • 刊行年 2013年10月

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