円急騰で設備投資の冷え込み懸念 北陸の輸出メーカー

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 円相場が一時1ドル=101円台の円高水準に高騰した9日、北陸の輸出メーカーには事業環境の悪化を懸念する声が広がった。想定為替レートより円高に振れた企業もみられ、為替差損を被る企業からは「長引けば長引くほど業績に響く。早く落ち着いてほしい」との声が漏れた。株価も約1年2カ月ぶりに2万円を割り、景気減速に伴う設備投資の冷え込みが北陸経済の下振れ要因となる可能性が出てきた。

 澁谷工業(金沢市)が製造するボトリングシステムや半導体製造装置は欧州メーカーと競合している。円高に振れれば価格競争で不利に働く。

 同社幹部は既に受注した案件は円建てで引き受けているため影響はないとした上で「新規の案件獲得に響くかもしれない」と身構える。株価の下落に関しては、消費マインドの落ち込みに伴い、顧客が設備投資に慎重になる可能性があるとした。

 建設機械メーカー大手のコマツは米ドル換算で1円の円高になると、営業利益ベースで年間44億円の減益要因となる。同社が10月末に設定した想定為替レートは1米ドル=104・5円となっている。同社コーポレートコミュニケーション部の担当者は「(為替が)どう振れても利益が出るよう、グローバルでの調達を進める方針に変わりはない」と述べた。

 自動車関連メーカーの設備投資冷え込みを心配するのは高松機械工業(白山市)だ。円高に伴って顧客が割高感を持つかもしれないと指摘し「受注が落ち込まないか心配だ」と漏らした。自動車部品を手掛ける田中精密工業(富山市)も、利益の下振れリスクになると警戒する。

 電子部品業界でも先行き不透明感は増している。欧州市場に輸出するEIZO(白山市)は対ユーロで円高になると利益が削られる一方、ドル建てで部品を調達しているため、対ドルの円高はプラスに働く。担当者は「足元の影響が見えにくい状況になっている」と話した。電源製造のコーセル(富山市)は目安として円高が1円進むと営業利益が年間2500万円減少するとし、「一喜一憂しても仕方ない」とした。

 社員3人が新型コロナウイルスに感染し、15日まで操業停止中の繊維メーカー、小松マテーレ(能美市)は、円高の長期化により欧州の衣料向け輸出で影響が出ないか注視するとした。金属加工業、CKサンエツ(高岡市)の釣谷宏行社長は「世界的に国内産業の保護を優先する流れが強まっている。海外と取引するリスクが高まってきた」と見通した。