『ビッグ・リトル・ファーム』 理想の暮らしのつくり方

(C) 2018 FarmLore Films, LLC

 アメリカの大都市ロサンゼルスのアパートで、殺処分寸前に保護された愛犬のトッドと暮らしていたジョンとモリー夫妻。繊細なトッドはなかなか鳴き癖を直すことができず、騒音を理由に夫妻はアパートを追い出されてしまいます。2人は、トッドがどんなに鳴いても大丈夫な場所、ロサンゼルス郊外で、やったことのない農業に挑戦することを決めます。2人が購入したのは、なんと東京ドーム約17個分の大きさの、荒れ果てた農地。初めての農業に苦戦しながら、8年間かけて美しい理想郷を作り上げた2人の物語を追ったドキュメンタリーです。

 実は先日、東日本大震災を機に岡山に引っ越して夫婦で農業をはじめた先輩を訪ねました。映画の2人と同じように、様々な自然の厳しさに触れながら、土とともに生き、自分たちが食べるものを自分たちで作っていく生活。都会の生活とはまるで違いますが、その生活は穏やかでどこか神々しさを秘めていて、とても羨ましいものでした。

 そう、この映画を観ていると、ジョンとモリーがとても羨ましく思えるものです。住み慣れた都会から一歩飛び出した勇気と、自分たちだけの理想郷を作り上げた素晴らしさ。そしてそれだけじゃなく、目の前に立ちはだかる自然の脅威に夫婦で立ち向かっていく、最高のラブストーリーでもあるのです。この美しい映画から、私たちは勇気と努力、自然との共存、そして愛、という人生に必要不可欠なたくさんのことを学べるはずです。★★★★★(森田真帆)

製作・監督・脚本:ジョン・チェスター

3月14日(土)から全国順次公開

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