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都内で設計事務所を営む横田忠一(仮名、裁判当時62歳)は、本業をこなしながら町会の仕事や学童保育OBとしての活動に精力的に取り組んでいました。生活も安定していて、妻子とともに何の問題もなく暮らしていました。
一見、犯罪とは無縁な普通の男性です。
そんな彼のもとに逮捕状を持った警察官がやって来たのは、休暇を利用して妻とスキー場に行っていた時のことでした。
彼には誰も知らないもう1つの裏の顔があったのです。
彼は「タクヤ」というアカウント名でツイッターをやっていました。
何かを発信したりするためではありません。彼がツイッターを始めた目的、それは援助交際の相手を探すためでした。
彼は検索機能で今回の事件の被害者となった児童(当時15歳)の援交募集アカウントを見つけ、DMで援助交際を持ちかけました。
「親しくなりたい、と思ってDMしました。15歳だとは聞いてませんでしたが女子高生だとは聞いてました。でもツイッターで本当のことを書く人なんていないと思って半信半疑でした」
1回会うごとに35,000円、という条件で二人は実際に会うことになり、新宿のラブホテルで性行為に及びました。
「援募アカウントは被告人からメッセージが来る1ヶ月前に作りました。被告人とは約半年間で7回くらい会って性行為をしました。15歳だと話しました。毎回、昼食を挟んで2回してました。(援助交際の)相手はもう1人いましたが被告人と時期は被ってません」
と被害児童は供述しています。
年齢を知らなかった、という彼の話とは矛盾しています。彼は被害児童と会った時のことを、
「顔立ちも整っていて身体も成熟してて、大人っぽいと思いました。セックスの際も、挿入時に痛がることもなく反応もそこそこよかったです。身体も反応も、子供とは思えなかった」
と述べています。法廷で一体何を話しているのかと呆れるばかりですが、そんな関係もやがて終わりの日が来ました。
「もっと高額な男ができた」
と、被害児童から関係を精算したい旨を告げられてしまったのです。
これに対して「タクヤ」は、
「他に新しい子を探したけどいない。困ってる時はいつでも言って」
「もう一度会いたい」
などとメッセージを送りましたが、返事は返ってきませんでした。
彼は被害児童のことを諦められませんでした。会えないのはいいとしても、せめて彼女の全裸の写真等を手元に置いておきたい、と思ったのです。
彼は新しくツイッターアカウント「マサシ」を作成し、彼女にDMを送りました。今度は「1回に65,000円」という高額の条件です。このDMを見て被害児童は、
「ラッキーだと思いました。写真や動画を送ったら増額する、と言われて撮影して送りました」
と初めは喜んでいたようです。
彼は意図的に「タクヤ」と「マサシ」のキャラクターを変えていました。
「マサシ」は「タクヤ」よりも高圧的な態度を取るキャラクターです。「マサシ」は被害児童に対して、
「DMの返事が遅いし、文面に卑猥さが足りない。毎日、全裸でオナニーしてる動画を送れ」
などと威圧的な内容のDMをしました。これにだんだん恐怖を覚えた被害児童が、
「やっぱり会うのはやめたい」
と言うと「マサシ」は、
「会わないなら写真も動画も拡散する」
と脅しました。
その後、被害児童が警察に相談したことから事件は明るみに出ました。
被害児童の父親は、
「大切に育ててきた一人娘なのに…被告人を絶対に許せない」
と激怒しています。
被告人の妻は「非常に辛い思いをしている」そうです。
被害児童も悪い、と思う人もいるかもしれません。
人は欲望の前では弱い生き物です。まして子供であれば目の前にある金銭の誘惑に勝てないのも無理はありません。
そんな子供を、性欲のおもむくままに貪る彼の罪の重たさは、たとえ被害児童に非があろうとも、決して軽減されるべきではありません。(取材・文◎鈴木孔明)