【聖火をつなぐ】3「沿道に元気届けたい」 山田基子さん(52)(藍住町勝瑞、うどん店手伝い)

 2015年に血液がんの一種、悪性リンパ腫と診断された。半年間の闘病生活を乗り越えた先の大役に「沿道に元気を届けたい」と意気込む。命のありがたさをかみしめながら本番を待つ。

 うどん店を営む徳島市出身の夫健二さん(52)は、大阪市の大手電機メーカーの元同僚。結婚を機に脱サラし、00年にオープンした。本場香川で修業した健二さんの手打ち麺が評判となり、常連客でにぎわっていた。

 異変が起きたのは15年4月。中学で始めたバドミントンを続けるなど健康状態は良好だったものの、首のはれと喉の痛みが気になった。検査で病が発覚した。抗がん剤治療は想像を絶するつらさだった。「一日一日を乗り切るのが精いっぱい。将来について何も考えられなかった」

 支えになったのは周囲の励ましだ。仕込みの合間を縫って病室に着替えを届け、退院後に大好きなイタリア料理を食べに連れて行ってくれた夫や、明るく話し掛けてくれた同じ病室の高齢女性への感謝は尽きない。

 13年に東京五輪の開催が決まってから、一大イベントに関わりたいと願った。「死を意識した時期もあったけど、今はバドミントンを再開しようと思えるまで元気になった」。聖火ランナー内定は、生きる希望となっている。

大病を乗り越え「元気を届けたい」と意気込む山田さん=藍住町勝瑞

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