東日本大震災から9年…被災者を今も苦しめるPTSDを治療するには?

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震災発生の当時、楽天に所属していた田中将大投手(右)も被災者支援に奔走した

3月11日で、東日本大震災から9年を迎えます。あの日から「心から笑ったことはない」という人は、いまだ少なくないかもしれません。なかには、大人、子ども問わず、心的トラウマ「PTSD(Post Traumatic Stress Disorder/心的外傷後ストレス障害)」に悩まされ、苦しんでいる人もおられます。

PTSDは1995年の阪神・淡路大震災後、一般にも知られるようになった病名です。地震や津波、洪水、火事、事故、戦争、暴行、監禁、虐待などに直面し、普通ではありえない、あるいは死ぬかもしれないというような衝撃的体験をした人にみられる疾患なのです。体験者でなくても、悲惨な現場を目の当たりにしたり、そういう体験で親しい人が死んだ場合も、このPTSDを発症する可能性があります。

本拠地開幕戦の試合後、当時の楽天選手会長だった嶋捕手は被災者とともに戦うことを誓った(2011年4月29日)

実際、東日本大震災のような大きな災害が発生した後には、被災者だけでなく救援者などもPTSDになることが研究で明らかにされています。

また発症時も様々で、衝撃的な出来事の後にすぐに発症する人もいれば、何年も経ち、忘れかけたころに何かのきっかけで発症する人もいます。

あなたは大丈夫?

次のような症状が1カ月以上も続くようならば、PTSDを疑っていいかもしれません。

①代表的な症状として、フラッシュバック(再体験)があります。その時のつらい出来事が突然、よみがえるのです。
②フラッシュバックすると、めまいや頭痛が起こりませんか。
③入眠困難に陥ったり、悪夢に悩まされたり、類似した出来事に過敏に反応したりしていませんか。
④出来事から逃避したくて、部分的な健忘が起こることもあります。
⑤当時の怖いことや悲しいことを思い出すと、不安や緊張が続きます。
⑥つらい記憶のせいで、警戒心が強くなっていませんか。
⑦人に心を開くことができなくなったり、感覚や感情が麻痺したりしていませんか。

PTSDによって、生活や仕事に支障をきたす人もいます。苦しみや悲しみのあまり、アルコール依存症や薬物中毒に陥る人もいますので、PTSDかなと思ったら、早めに治療を受けることが大切です。

治療法は?

治療では「心的療法」や「薬物療法」、PTSDの患者が集まって話をする「グループ療法」などが行われます。

津波の被害を受けた工場。近くには330トンの漁船が打ち上げられていた=宮城県気仙沼市内(2011年4月撮影)

薬物療法では不安や睡眠障害等がある場合は抗不安薬、抑うつ症状があれば抗うつ薬などを用いて治療に当たります。

心的療法はカウンセリングを中心に、トラウマを防ぐことと、自然の回復促進にも力が入れられています。

芸能界でもサンドウィッチマン(左の2人)ら東北出身者を中心に復興支援の輪が広がった

また近年、トラウマになった場面をあえて思い出してもらい、治療につなげる「持続エクスポージャー療法」も取り入れられるようになってきました。ただし、この療法は経験のある治療者のもとで行わないと逆効果にもなりかねません。

患者さんも周りの人もあせらず、PTSDの治療にあたっては、専門家の指導のもとに行いましょう。

◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。