アフガン駐留米軍、撤退を開始 タリバンとの和平合意で

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アメリカ軍は10日、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンとの和平合意に基づき、同国に駐留する部隊の撤退を開始したと明らかにした。

アメリカとタリバンは先月29日、米軍の撤退と、タリバンとアフガニスタン政府の捕虜交換が盛りこまれた、歴史的な合意文書に署名した。

アメリカは、アフガニスタンに現在駐留する米軍約1万2000人について、合意日から135日以内に8600人に縮小することで合意した。

アフガニスタン政府はこの合意に参加してはいないものの、タリバン側と協議を行うものとみられる。

合意には、10日までにタリバンの捕虜約5000人とアフガニスタン治安部隊の捕虜約1000人を交換することも盛り込まれたが、同国のアシュラフ・ガニ大統領は、「捕虜5000人を解放すると約束はしていない」と述べていた。

しかし複数報道によると、9日に2期目に就任したガニ大統領は、今週中に少なくとも1000人のタリバンの捕虜の解放するよう命じる方針という。

合意締結後、タリバンがヘルマンド州でアフガニスタン政府軍を攻撃したことを受け、米軍は4日、同州で空爆を行った。そのため、今回の和平合意は決裂しやすいものだと見られていた。

タリバンは段階的縮小を呼びかけ、アフガン駐留米軍の報道官、ソニー・レゲット大佐は9日、米軍撤退の第1段階を表明した。

レゲット大佐は声明で、アフガニスタンから撤退する一方で、アメリカはアフガニスタンにおける「自分たちの目標を達成するため、あらゆる軍事的手段や権力」を維持し続けるとしている。

アメリカと北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、タリバンが合意を順守すれば、14カ月以内にすべての駐留米軍を撤退することで合意している。

合意では、タリバンは支配下にある地域でアルカイダなどの過激派組織の活動を認めないことに同意した。

アフガン国内では政治的対立も

米軍の撤退が始まった一方で、アフガニスタンの政情不安は収束せず、対立する各派が一斉に交渉する見通しは立っていない。

アフガニスタンでは9日、再選を果たしたガニ大統領の就任式と、別の大統領就任式が行われた。

昨年9月の大統領戦について、同国の選挙委員会は、現職のガニ氏が対抗馬のアブドラ・アブドラ氏に僅差で辛勝したとしている。一方、アブドラ陣営は、自分たちが負けたのは詐欺だと反発している。

こうした政治対立は、10日から始まる政府とタリバンの協議で、「政府の立場に重大な影響を及ぼす」と、専門家たちは警告している。

米政府は、「2つの政権が並列して誕生するような行動」に反対し、ガニ氏を支持する姿勢を示した。

マイク・ポンペオ米国務長官は9日の声明で、「包括的な政府と、統一アフガニスタンを優先することが、同国の将来や、とりわけ和平のために最も重要なことだ」と述べた。

19年続く戦火

米軍は2001年の米同時多発攻撃の直後、空爆作戦などでアフガニスタンの現地勢力と共に、タリバン政権を崩壊させた。同時多発攻撃を起こした過激派勢力アルカイダは当時、アフガニスタンを拠点としていた。

その後タリバンは次第に盛り返し、2018年には同国の3分の2で活動している。

2001年以来、2400人以上の米兵がアフガニスタンで戦死している。

(英語記事 US begins withdrawing troops from Afghanistan