東北地区で初の新型コロナウイルス関連倒産、福島・沼尻温泉の(有)田村屋旅館が民事再生

  (有)田村屋旅館(TSR企業コード:152024158、法人番号:3380002032430、耶麻郡猪苗代町蚕養字沼尻山甲2855、設立1964(昭和39)年4月25日、資本金2000万円、渡部恒一郎社長)は、3月6日に福島地裁会津若松支部へ民事再生法の適用を申請し、同日保全監督命令を受けた。
 申請代理人は山口伸人弁護士(東京山王法律事務所、東京都港区六本木1-4-5、電話03-3589-3585)ほか。
 監督委員には小池達哉弁護士(会津鶴城法律事務所、会津若松市追手町3-16、電話0242-28-5640)が選任された。
 負債総額は約4億円。

 1886年3月に創業、業歴100年を超える老舗。沼尻温泉に所在する温泉旅館で、鉄筋4階建の本館は客室数40室、宿泊人員250名の規模を誇り、学生の合宿やスキー客などにも利用されていた。
 1995年6月期には売上高約3億7600万円を計上していたが、団体旅行の減少などから売上高は2000年6月期に2億円台、2005年6月期は1億円台に低下。さらに、東日本大震災により生じた東京電力福島第一原発事故による風評被害が集客に追い打ちをかけていた。
 その後、地道な風評被害の払拭に努め、インバウンド需要の取り込みも図るなど経営立て直しを進めていたが、客足回復に至らず2019年6月期の売上高は約6300万円にとどまっていた。
 今期も暖冬の影響で周辺のスキー場が雪不足でスキー宿泊客が減少。さらに、新型コロナウイルスの影響から宿泊キャンセルが相次ぎ、民事再生手続きの下で再建を図ることとなった。

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