「安心して農業できる」 営農者ら請求棄却に安堵

 漁業者らの開門請求を棄却した長崎地裁の判決に長崎県内の営農者は安堵(あんど)の表情を浮かべ、開門差し止め派弁護団は「開門せずに解決すべきだ」との裁判所の見解が改めて明らかになったと評価した。
 「非常にありがたい。安心して農業ができる」。開門反対の立場で長年、裁判を見守ってきた平成諫早湾干拓土地改良区の山開博俊理事長(72)は判決を聞きほっとした様子。漁獲量の減少については「温暖化など気候変動による影響ではないか。暖冬で農業も影響が出ている」との見方を示した。
 開門差し止め派弁護団の山下俊夫弁護士は2010年の福岡高裁の開門確定判決以降、最高裁を含め非開門の司法判断が相次いでいると指摘。「これ以上法廷闘争を繰り返しても無意味。国の基金を活用して有明海の再生を求めていく方向にかじを切った方がいい」と和解協議を求めた。
 県諫早湾干拓課は「最高裁が示した『開門を認めない』との方向性に沿ったものと受け止めている」とコメント。国に対しては「真の有明海再生を目指し、開門問題の抜本的な解決に向け取り組んでほしい」とした。

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