北京冬季五輪へカーリング男子が熱気

平昌代表が分散しライバル争い

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カーリング日本選手権の決勝でTM軽井沢と対戦し、スイープするコンサドーレの清水(右)と谷田=軽井沢アイスパーク

 今夏の東京五輪に向けた話題が事欠かない中で、既に2年後の北京冬季五輪の日本代表争いが始まっている。

 ことし、来年と連覇すれば五輪代表(出場枠は未確定)に内定するカーリング日本選手権が2月に行われ、女子は2018年平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレが4年ぶりに優勝し、男子はコンサドーレが2年連続で制して北京五輪代表レースで一歩リードした。

 この大会の話題の一つとなったのは、平昌五輪代表だったSC軽井沢クの主力4人が3チームに分かれて日本一を決める舞台に再集結したことだ。

 ライバルとして日本一を争って表彰台を占め実績、話題性のある女子に負けず、男子もこれまでにない熱気を帯びた大会となった。

 平昌五輪代表のリード、両角公佑は「(SC軽井沢クで)オリンピックを経験したメンバーが新たなチームメートに自らの体験を還元できている証拠」と、かつての同僚とハイレベルな戦いを繰り広げた大会を振り返った。

 司令塔のスキップを務める兄の友佑と新たに二人を加えて今季から立ち上げた、TM軽井沢で準優勝と上々の成果を残した。

 SC軽井沢クは長野県軽井沢町を拠点に両角兄弟、山口剛史、清水徹郎の4人がレギュラーとして10年以上も活動。経費削減のために、海外遠征先のホテルでベッド二つの部屋に4人で泊まるなど涙ぐましい時間も重ね、日本選手権5連覇、2016年世界選手権は4位と一時代を築いた。

 日本男子では初めて自力での五輪出場権獲得を達成した(1998年長野五輪は開催国枠)。

 8位だった平昌五輪のシーズン終了を区切りに、4人がそれぞれの道を模索することになって分散した。2018~19年シーズンは、両角友は新たなチーム設立を視野に選手としては1年間どこにも所属せず、ほかの3人は別々のチームで活動を始めた。

 唯一SC軽井沢クに残った山口はセカンドからスキップへポジションを移し、若いメンバーを加えた新体制を率いて3位に食い込んだ。

 コンサドーレとTM軽井沢には屈したが、経験の浅い選手を引き上げ、予選敗退で日本選手権に出場すらできなかった昨季から浮上した。

 「五輪に出た過程で学んだものを仲間に伝えてレベルを上げてきたつもり。(元同僚との対戦は)特別な感じはなく、国内トップを争う仲間。かつては旧SC軽井沢クラブだけだったが、いまは3チームが世界ツアーのランキングでも40位以内にいて国内のレベルが上がっているということ」と胸を張る。

 清水は新たな環境を求めて地元を離れて北海道に移住し、コンサドーレ加入後の2シーズンで連続日本一に貢献した。

 サードとして速いショット、スイープと高い能力をすぐに新天地でも発揮し、昨季の世界選手権4位に貢献。ことしの日本選手権では元同僚の挑戦をはね返し、全勝優勝を飾った。

 「苦しい場面もあったが、乗り越えて2連覇できてよかった。コンサドーレは強いと思わせられるように、もっともっと頑張らないといけない」とライバルチームの存在を刺激にしていた。

 両角兄弟のいるTM軽井沢は、結成1年目で進んだ決勝で王者とほぼ互角の熱戦を演じた。

 兄の両角友が世界レベルの好ショットを披露して現王者を追い込んだが一歩及ばず「1年目にしてはすごくよかった。経験値が積み重なっていけばさらに上に行ける。(平昌五輪代表メンバーが)解散したときには関係者がいろいろと思ったことはあったと思うが、(山口が率いる)新生SC軽井沢クラブも僕らも日本選手権に初出場し、コンサドーレに食らいついて、それぞれ1~3位になったのは男子カーリングの発展につながる」と手応えを口にした。

 五輪に同じメンバーで再挑戦すれば上位が狙えたのでは、と担当記者としては分散が決まった時は残念な思いが強かったが、そのときは少しだけ抱いていた新たな歯車が回り始める期待は平昌五輪からの2年で現実となってきた。

 世界との差を体感した4人は、平昌五輪後の2年で新たな居場所をつくり、新たな仲間とともに腕を磨き、それぞれが高め合っている。

 「男子も、いまの女子のように世界で活躍するチームがいくつも出てきて、日本はカーリングが強いなと思ってもらえる日が来ればいい」と両角公。

 SC軽井沢ク1強時代が変化し、ライバルがしのぎを削り、勝ち抜くにはさらなる研鑽が求められる状況が整ってきた。2年後の北京五輪で、日本男子チームの躍動する姿を目にするのが楽しみだ。

伊藤 貴生(いとう・たかお)プロフィル

他社での記者経験を経て2005年に共同通信入社。3年間、札幌支社でプロ野球日本ハムを担当。本社運動部、名古屋支社運動部を経て、15年5月から本社運動部でアマ野球、ボクシングなどをカバーしている。鳥取県出身。