【創作そば なぁるの山崎祥平さん】興味の足し算で生まれた「洋風蕎麦」で、蕎麦の概念を変えたい。

By 小野寺将人

雄三通りにお店を出されている方にご登場いただく「雄三通りで会えるあの人」の今回は、洋風蕎麦を提供する「なぁる」の山崎祥平さんです。脱サラ、自衛隊を経てユニークなお蕎麦店さんを出すまでのお話を、ぜひ最後までお読みください。(全2話)


■オリーブオイルで勝負する蕎麦屋

――― 本日はよろしくおねがいします。

山崎 よろしくお願いします

――― まずは簡単になぁるさんついてご紹介をいただけますか。

山崎 福島県会津産の蕎麦粉を100%使った手打ち蕎麦屋です。
通常のお蕎麦や、グルテンフリーの十割蕎麦も置いてありますが、一番のウリはオリーブオイルと日本蕎麦を合わせた「洋風蕎麦」ですね。

なぁるの洋風蕎麦

――― お蕎麦に、オリーブオイルを組み合わせるのはかなりユニークですね。

山崎 そうですね(笑)
オリーブオイルは、ギリシャ産のエキストラバージンオリーブオイルを使っています。

――― その種類だと質が高いということですね。

山崎 ですね。取引先の会社が、「フレッシュジュースのようオリーブオイル」と謳っているくらい、ベタつかずフルーティーなんですよ。

――― ジュースのようなオイルですか。それをお蕎麦と組み合わせるのは、どうやって思いついたんですか。

山崎 もともと神楽坂と銀座で日本蕎麦のお店をやっていて、油の勉強もしていたんです。その時にオリーブオイルだけ妙に引っかかっていて。

――― 普通の油じゃないな、と。

山崎 はい。油だけど、調味料というか、積極的に体に取り入れたいものだなと思って。
個人的に、7年ほど前から何でもオリーブオイルをかけるようになったんです。
そしたら、好きなもの食べてお酒を飲んでも血圧が150台から120台に下がってて!(笑)

――― それはすごい!

山崎 蕎麦も体に良いし、それにオリーブオイルを合わせたらすごい効果が出るんじゃないかって思ったのがきっかけですね。

なぁるで使用しているオリーブオイル

――― それぞれの興味の足し算ですね。他の蕎麦屋さんでは見たことがありません。

山崎 都内で蕎麦屋って多いんで、「よし、オリーブオイルで勝負しよう」と決めて、銀座に出していたお店ではすべて「洋風蕎麦」でいきました。

――― お客様の反応はどうでしたか。

山崎 当時は「え、油入れんの?」って、サラダ油と同じ感覚の人も多かったです。
ただ場所が銀座だったおかげか、徐々にではありますが割とスムーズに浸透していった感じです。

――― どうしてそこまで振り切れたのでしょうか。

山崎 「お蕎麦屋さん=年配の男性が行く店」という概念を変えたかったんです。
普通、ママさん達が保育園に子どもを送った後に「蕎麦屋行く?」ってならないじゃないですか(笑)

――― たしかに、それは違和感がありますね。

山崎 なので、女子会や、若いカップルがデートで蕎麦屋を使ってほしい、それが狙いの一つにありました。
「洋風蕎麦屋って、面白そう」と話題になれば、変わってくるかなって。
実際、いまは若い方も足を運んでくださり嬉しいです。

■今日打った蕎麦は二度と打てない

――― なぁるさんでは、そば打ち体験もされていますよね。

山崎 はい。自分の手で打ったそばを持ち帰ってもらっていて。夕飯で「自分が打った蕎麦なんだよ」って、家族に食べてもらえます。
やっぱり気持ちがこもっていますから、乾麺を茹でて食べるとは違うじゃないですか。

――― お客さんとコミュニケーションが取れて良いですね。

山崎 そうですね。体験後も「また蕎麦を打ちたい」って電話が来たりして、どっぷりハマる方もいらっしゃいますね。
最後まで機械を使わず、自分の手だけで完成させるじゃないですか。
だから同じ材料、道具を使っても打つ人によって味が違うんですよ。
もっと言うと、今日僕が打った蕎麦は二度と打てないんです。

――― 同じレシピでも味が違うんですね。

山崎 あとは気持ちが入ってないと料理って美味しくないですよね。
今はもうないですけど、最初の頃は打った後に、「これはやっちゃったな…」ってときもありました(笑)

――― 自分ですぐ分かるんですね。

山崎 明らかに違うので、わかりますね。
逆に気持ちがちゃんと込められると本当に美味しくなるので、蕎麦って本当に面白いです。

なぁるの手打ち蕎麦
天ぷら

■家族との時間が少なすぎた

――― これまで神楽坂、銀座と出店をしてきて、なぜ今度は茅ヶ崎にしたのでしょうか。

山崎 当時あまりに仕事が忙しくて、家族との時間が全然取れなくなっていたんです。
日曜日の朝、娘に「パパ久しぶり」って言われちゃって…(笑)
それで移住を考えるようになりました。

――― 生活を変えるために、茅ヶ崎にいらしたのですね。

山崎 自分で店やってるのに、仕事と家庭のバランスが悪すぎるなと。
だったら家族みんな海が大好きだし、海の近くにお店も移転できたら良いなって思ったんです

――― 実際に海の近くに移転されましたね。

山崎 そうですね、茅ヶ崎に来れて良かったです。

なぁるの店内

――― 山崎さんの蕎麦への思いが伝わるお話でした。次回は開業までのお話を中心に伺いたいと思います。
(次回につづく)


【雄三通りで会えるあの人】創作そば なぁるの山崎祥平さん

・第1話 興味の足し算で生まれた「洋風蕎麦」で、蕎麦の概念を変えたい。

・第2話 サラリーマン、自衛隊を経て、蕎麦屋の店主へ


▼創作そば なぁる

住所:神奈川県茅ヶ崎市東海岸南1-9-4/TEL:0467-91-9278/定休日:火・水・日曜/営業時間:ランチ 11:30~14:30 (14:00LO) / ディナー 17:30~21:30 (21:00LO)/公式ページFacebookInstagram


▼インタビュー 小野寺将人(Blog / Facebook / Twitter
2015年に茅ヶ崎市に移住し、2017年に「エキウミ」を立ち上げる。東海岸商店会の公式サイトの運営や、m'no【エムノ】のWEBマーケ、記事の寄稿も行う(SUUMOタウンGyoppy!ARUHIマガジンSPOTほか)。

▼編集 瀬野尾友美
東京出身。これまで他拠点でウェディングプランナー、ホテルでのコンサルタントを経験。仕事だけの人生ではなく、より豊かな暮らしに興味を持つ。昨年末に退職後、縁もゆかりもなかった茅ヶ崎に移住。住んで1週間で茅ヶ崎の虜に。茅ヶ崎のマチ、ヒトの魅力を発進したいと思い立ち「エキウミ」に参加。

▼編集アシスタント 権藤勇太
エキウミインタビュー担当。平日は都内で法人向けの業務改善提案を行う営業マン。休日は緑に囲まれた茅ヶ崎で畑をいじったり、キャンプしたりフットサルをしたりのんびり生活をしている。消防団に入ったことをきっかけに、自分が使うお金がどこに流れて回っていくのか興味をもち商店街の活性化に2018年参加。

▼編集アシスタント 佐藤真司(Facebook
1975年2月28日、神奈川県横浜市生まれ。小学校から高校まで野球、大学ではアメリカンフットボールの体育会系!生まれも育ちも横浜であったが、東日本大震災を機に宮城県石巻市に移住し、4年間復興支援を行う。はじめての地方暮らしを経験し、人の温かさ、繋がりを経験し、いまは茅ヶ崎での心豊かな生活を目指している。

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