カネミ油症 新たに6人認定 検診54人のうち

 長崎県は13日、本年度のカネミ油症検診を受けた未認定54人のうち、五島市の5人と長崎市の1人の60~80代男女計6人を油症認定したと発表した。一方、5人は保留(経過観察)、43人は認定に至らなかったとしている。被害者は子ども(2世)ら次世代の救済も求めているが、認定は前年度に続きゼロだった。
 医師でつくる県油症対策委員会が2月28日付で県に答申。県生活衛生課によると、認定された人の内訳は五島市在住が70代男性2人と、60代、70代、80代の女性各1人。長崎市在住は70代女性。それぞれ3~10回目の受診で認定された。
 原因の汚染油が出回った1968年2月以降に生まれた、いわゆる油症2世は8人が受診したが、認定されなかった。診断基準では有害化学物質の血中濃度が重視されており、有害物質を母親の胎盤や母乳から間接的に摂取した次世代にとって、この基準が認定の壁になっているとみられる。
 初めて受診したのは全54人中14人。初受診者に認定された人はいなかったが、4人が経過観察となった。一方、今回を含め33回受診したが、認定されなかった人もいた。
 油症発生時に認定患者と同居し汚染油を食べた人を患者とみなす「同居家族認定」は申請を随時受け付けており、本年度の申請者2人をいずれも認定した。
 長崎県認定患者数は13日現在、同居家族認定155人を含め975人(死亡、転居含む)、県内在住の生存者は457人。

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