壱岐で長崎県内初感染 転入の30代男性 12日、京都から

感染した30代男性の行動歴

 長崎県は14日、壱岐市に転入してきた30代の自営業男性が新型コロナウイルスに感染したと発表。現在、同市の医療機関に入院しているが症状はないという。県内の感染者確認は初めて。離島での感染者確認は全国初とみられる。九州7県のうち感染者が確認されていないのは鹿児島県だけとなった。

 感染者の男性と一緒に行動した福岡県の50代男性と壱岐市の30代女性の濃厚接触者2人も感染の有無を確認するためPCR検査を受けており、15日朝にも結果が判明する見通し。
 県によると、男性に海外渡航歴はない。12日、京都府から壱岐市に転入。2月21日に神戸市で、3月4日にも大阪市で、大阪府の知人と接触した。この知人が感染したことを会員制交流サイト(SNS)で12日夜に知り、壱岐保健所に相談。13日午後、壱岐市の医療機関で検体を採取。14日朝、県環境保健研究センター(大村市)のPCR検査で陽性と判明した。

長崎県内での新型コロナウイルス感染者の確認について記者会見する中村知事=14日午前10時35分、県庁

 男性は12日、新幹線などで京都から博多駅へ移動。そこから50代男性が同行し、午前10時半に博多港発の高速船で壱岐市入り。島内ではレンタカーで市役所や飲食店などを回った。同日夕には同市の30代女性も合流し、3人でドライブをしたり飲食店で夕食を取ったりしたという。
 大阪府の知人の感染を知った男性は他人との接触を避けるため12日夜はテントに、同行の50代男性、30代女性の2人はそれぞれ車に宿泊。13日は3人とも市が用意したコテージに寝泊まりした。同行の2人はいずれも症状は出ていない。
 高速船の運航会社は船内の消毒作業などを終え、通常運航している。感染者の男性が乗った便には乗客乗員計約130人が乗船。男性の座席の周囲2㍍の範囲の乗客数人程度は濃厚接触者に当たるとみて、乗客の特定を進めている。
 市役所や飲食店など、男性が壱岐市内で立ち寄った場所はいずれも滞在時間などが短く、県は、島内ではほかに濃厚接触者はいないとみている。
 県は14日朝、県庁で対策本部会議を開催。会見した中村法道知事は「県内でいつ(感染者が)発生してもおかしくない状況だった。引き続き、県民の皆さまに予防対策の協力をいただきたい」と述べた。


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