壱岐・高速船の同乗者動揺 濃厚接触者へ連絡急ぐ

12日午前に博多-壱岐-対馬で運航した高速船の2階座席表

 長崎県壱岐市の男性が新型コロナウイルスに感染したことが確認されると、12日に同じ高速船に乗っていた人たちには動揺が広がった。船の運航会社は消毒作業に追われ、県は船内での濃厚接触者への連絡を急いだ。
 福岡市南区の60代夫婦は12日、博多発の高速船に乗り壱岐経由で対馬観光に向かった。同乗者から感染者が出たことを知った夫婦は「長崎県は感染者がいなかったので旅行に来たのに…」と絶句。感染者の席と離れていたことを確認し「大丈夫だと思うが、福岡に帰ったら保健所に相談する」と不安げな表情を浮かべた。
 運航会社は清掃業者に船の消毒を依頼。博多港の箱崎ふ頭で防護服姿の2人が船内を消毒。シート周辺や手すりなどを重点的に拭き上げ、エアコンフィルターも取り換えた。同社の担当者は「いつこのような事態になってもおかしくないと思っていたが…」と困惑気味。船には乗客122人、乗員6人が乗り、感染者は2階前方の席に座っていた。同社と長崎県は協力し、同乗者を追跡。県は数人の濃厚接触者に外出自粛を求め健康状態を14日間観察。その後PCR検査を実施するという。

高速船の2階客席を消毒する清掃業者=14日午後2時23分、福岡市の箱崎ふ頭

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