「あと10日持つかどうか…」ほ乳瓶の消毒液ピンチ 新型コロナで保育所も混乱 マスクも人手も不足

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園児を寝かしつける保育士。マスクや消毒液の在庫も少なくなっている=13日、那覇市・小規模型保育A型の保育園

 新型コロナウイルスの感染防止で、一斉臨時休校になった小中高校に対して、政府が原則開園を求めた保育所では、人手も消毒液などの衛生備品も足りず混乱している。国の支援策は行き届かず、感染予防に神経をとがらせる現場は「せめて預かりに必要な人員や備品は確保できるようにしてほしい」と望む。

◆注文受け付けず

 那覇市の小規模保育園では、保育士8人のうち半数に休校対象の子どもがいる。子どもだけで家に置いておけず休む保育士も。園長(34)は「保育に十分な人員が不足する場合もある」と打ち明ける。

 やむを得ず、家庭保育ができる保護者には登園の自粛を依頼している。「保育料は変わらないのに自粛を求めるのは心苦しい。これ以上の混乱が続けば、園の運営も厳しくなる」と悲鳴を上げる。

 混乱に拍車を掛けているのが、マスクや消毒液などの備品不足だ。「特にほ乳瓶用の消毒液はあと10日持つかどうか」。業者は注文を受けていないため、保育士が探し求めた消毒用エタノールでしのぐ。園長は「子どもを預かる以上、衛生対策は万全にしたいのに」とため息をつく。

◆行き渡らない支援

 0~3歳児を預かる別の園でも、保育士が使うマスクも手指消毒液も足りない。園長の女性(60)は「喜んで子どもを預かるが、丸投げは困る。市にマスクや消毒液を融通してくれるよう頼んだが、けんもほろろだった」と憤る。

 厚労省は10日、子ども用マスクや消毒液、体温計などの購入にかかった経費を保育所1施設当たり50万円を上限で補助する支援策を打ち出した。

 だが、現場には行き渡っていないのが現状だ。

 本島南部の認可外保育施設の男性園長(52)が、自治体から通知のメールを受信したのは11日夕で、申請の締め切りは12日午後3時。慌てて換気用扇風機など10万円分を申請した。

 「あまりに急で支援を知らなかった園もある。情報格差も問題だ」と疑問を投げ掛ける。「行政による現物支給か、人件費も含めて弾力的に使える支援の方がありがたい」と実情に合わせた支援策を求めた。

◆保育士もまた1人の親だ

 県保育向上推進協議会の末広尚希会長の話 政府が臨時休校を決めたとき、保育施設には「原則開所を」というメッセージだけで、保育士の働き方、保育士もまた1人の親だという視点がすっぽりと抜け落ちているように感じた。やむを得ないから我慢してくれということなのか。社会を支えている保育士の役割とともに、脆(ぜい)弱(じゃく)な社会的地位を再認識した。

 私自身の法人が運営する7園でも約2割の保育士が臨時休校で仕事を休まざるを得なくなり、現場は大混乱した。自治体も「自分たちで何とかしてほしい」という対応だ。またいつ感染が発生し、臨時休校が再開されるか分からない。政府や自治体は、保育士の権利も含めて保障されるようにしてほしい。(談)