開幕延期のメジャーリーグ 開幕は早くても5月か

メジャーリーグ機構のロブ・マンフレッド・コミッショナーは、メジャーリーグ選手会のトニー・クラークとともに、新型コロナウイルスの感染拡大によるレギュラーシーズンの開幕延期によってもたらされる諸問題について議論を続けている。そのなかにはもちろん、レギュラーシーズンの開幕時期も含まれているが、まだ具体的な見通しは立っていない。ジ・アスレチックのケン・ローゼンタールとエバン・ドレリッチは、レギュラーシーズンの開幕は早くても5月に入ってからになると考えているようだ。

マンフレッドとクラークが議論している諸問題のなかには、選手のサラリーやサービスタイム(簡潔に言えば「メジャー登録日数」のようなもの)の扱いも含まれていると見られる。通常、サービスタイムが3年に達すると年俸調停の権利を獲得し、6年に達するとフリーエージェントになる。サービスタイムでは172日が1年として換算されるが、レギュラーシーズンが短縮されて172日未満となった場合、フルシーズン出場したにも関わらず、1年分のサービスタイムとして換算されない可能性がある。すると、年俸調停の権利を獲得したり、フリーエージェントになったりするのが1年遅れる選手も出てくるため、選手のサラリーにも影響を与えることになる。

また、選手には(1)キャンプ地に残る、(2)チームの本拠地へ戻る、(3)自宅へ戻る、という3つの選択肢が与えられているが、これについて「2020年のレギュラーシーズンを安全に迎えるためのベストの方法なのか?」と疑問視する声も上がっている。選手を分散させてしまうと、全ての選手をキャンプ地にとどめている場合と比較して、各選手の状況の把握などに余計な労力を費やすことになってしまう。場合によっては、新型コロナウイルスに感染するリスクが高まるケースもあるだろう。

アメリカ国内での新型コロナウイルスの感染拡大が終息し、各地の安全が確認されるまでレギュラーシーズンを開幕させるのは難しいと見られる。もちろん、オープン戦が中止となるなか、各チームがレギュラーシーズンを戦う準備を整えることも必要だ。そうしたことを考えると、「少なくとも2週間の開幕延期」と発表されているレギュラーシーズンだが、開幕までには予想以上の時間がかかることになるかもしれない。

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