対立越えたまちづくり 探る 諫早、雲仙市民 約1500人意識調査へ 諫干事業巡り研究者ら

 国営諫早湾干拓事業を巡り、多様な意見が対立する自治体の市民意識を考えようと、立命館大や佐賀大などの研究者グループが5~6月、諫早、雲仙両市に住む18歳以上の約1500人を対象にした大規模アンケートを実施する。

 潮受け堤防排水門の開門調査の賛否を問うのではなく、市民の意識を通して長年の紛争の背景を探り、今後のまちづくりの課題と展望を見いだす目的。グループによると、同種の住民意識調査は報道機関を除き、過去に例がない。
 グループは、立命館大の加藤雅俊教授(政治学)ら法学、社会科学などを研究する12人。約2年前から調査に向けた準備に着手。今回、諫早市(約千人)と雲仙市(500人)を住民基本台帳から無作為に抽出、郵送方式で実施する。
 主な質問項目は、各市の特徴や市町合併後の変化、町への愛着度、生活や自然環境の変化に対する意識、同事業完成後の地域環境などの認識を問う予定。
 研究を統括する佐賀大の樫澤秀木教授(環境法)は「地域内に訴訟では対応できない『対立』を抱えた自治体は、『まちづくり』に関して、他の自治体以上の困難を抱えている。そのような地域に住む住民が、『対立を越えたまちづくり』をどのように考えているのか、探りたい」と述べた。
 調査結果は、報道機関にも発表する予定。

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