「俺は野生のトラだ!!」玉ちゃんの24kg減ダイエットと健康ドキュメンタリー『ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実』

Ingo Wagner/dpa/picture-alliance/Newscom/Zeta Image

外食業界で一斉を風靡したチェーン店「いきなり!ステーキ」。店名に偽りなしで、まさに“いきなり”な勢いで全国に一気に店舗を拡大したが、業績が悪化し現在は店舗縮小に転じているという噂もある。「いきなり!ステーキ」の看板の見た目、押し出しが「ステーキを日本の国民食にする」ってな気合のエネルギッシュなオジサン(代表・一瀬邦夫氏)のニコニコ顔は、同じくアメリカのソウルフードであるフライドチキンチェーン店の顔、カーネル・サンダース打倒の笑顔だったのだろうか……。

ということで今回は、暴飲暴食で過ごす我々に警鐘を鳴らす! みたいな作品でいってみよう。Netflix他で配信中の『ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実』(2018年)だ。

それでは優秀な編集部の皆様、作品紹介よろしく!

UFCで戦った総合格闘家ジェームス・ウィルクスが、時代の最先端を走る科学者やトップアスリートに話を聞き、食生活が運動能力や健康に及ぼす影響を探求するドキュメンタリー。製作総指揮にジェームズ・キャメロン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジャッキー・チェンらが名を連ねる。肉食か、菜食か、人間にとって最適な食事とは?

View this post on Instagram

So pleased that my incredible and supportive wife Alicia (@plantedmom)could be by my side at both the Hollywood and NYC premieres of the @gamechangersmovie It has been a long, hard road to get this film finished and I couldn’t have done it without her support! Thank you Alicia, I love you! So happy that the film will finally be out to the world on September 16th, for a one-night only event, in theaters around the world. Link for tickets in bio. #teamgamechangers

A post shared by James Wilks(@lightningwilks) on

シュワ、ジャッキー、キャメロン監督ら製作! とっつきやすい健康ドキュメンタリー

本作は、肉食は人間には合っていなくて、菜食こそが人間本来の食生活の理想なのであるっていうドキュメンタリー映画だ。だから、カーネル・サンダースもいきなりステーキのオジサンも否定されるってことなんだな。

この映画には、オレの好きなUFCファイターも登場するし、もちろんアーノルド・シュワルツェネッガーも登場するし、ジェームズ・キャメロンやらジャッキー・チェンも絡んでるので、とっつきやすい。テーマは必要な食生活に直結しているから、観終えて「今までの自分は間違っていたんじゃないか?」って思う人もいるだろうし、「うるせぇ~余計なお世話だ!」っていう人もいるだろうけど、だから面白いんだろう。

View this post on Instagram

Did this moment blow your mind? 🤯 TAG someone who needs to see it! 👇 . . Thanks to @uppercut for sharing! 💪 . . #TeamGameChangers #GameChangersMovie #arnoldschwarzenegger

A post shared by The Game Changers(@gamechangersmovie) on

我々は、テレビから流される食事療法やら健康法やら、卵が割れない座布団やら奈美悦子がわざとらしく驚いている空気清浄機なんかに、すぐ食いついてしまう習性がある。健康法だと「紅茶キノコ」「にがりダイエット」「バナナダイエット」「えのき氷」「納豆ダイエット」やら星の数ほど出てきたが、一度テレビでその効果が放送されると、観た人間は翌日一気にスーパーへ買いに走り、その商品が売り切れ状態になってしまう。そして、そのブームが終わるとまた売り場に並ぶ商品は、それまでと同じ風景となる。ちょっと前にあった、みのもんた司会の昼の主婦向け番組の健康コーナー、そして現在では「ガッテン!」放送後ブームっていうかね。なにか自分に不安な物件(デマ)が近づくと必ず売り切れるトイレットペーパー状態だな。

健康器具風なもので言えば、古くはギッタンバッコンやる「スタイリー」やら「ぶらさがり健康器」やら「ブルワーカー」やら「腹筋マシーン」やら、最近じゃ「卵が割れない座布団」なんていう、んなワケねぇだろと購入して実際に試し、ハニカム構造の座布団がネットリした生卵でベットリ、になっちゃったりするのだ。つまり、こんなものを総て信じこんでしまって購入してきちまったオレ! ってこと。そんな過去から現在に通じた苦い経験と、それにオレの大好きな肉を否定されてムッとしつつな気持ちで、この作品を観てしまった。

朝・昼食を抜いて晩飯時だけ飢えた己を開放する“タイガーダイエット”を実践!

結局、体質変化は自分では努力もせずに、次から次へと発表される健康法や機械やサプリなんかに頼ってはそれに飛びつき、飽きたら新しく出てきた方法を試すという、単なるブームに乗っかっているだけではできっこないのである。「ブームではなくライフにする」、これこそが一番大事で、この作品に登場する人たちは確実に菜食をライフにしているから、凄いって言えば凄いんだな。

View this post on Instagram

プライベート町中華で飲ってるぜ! 今夜は品川 楽しみに〜〜 #町中華で飲ろうぜ

A post shared by 玉袋筋太郎(@sunatamaradon) on

オレは、酒もタバコも呑むし肉も女も喰う男だから、この映像に登場するアスリートみたいに身体の機能が向上したやらなにやら、って話は関係ないかもしれない。でも菜食に限らず、生活習慣を少し変えれば体調や数値が一気に変わるのなんていうのは、やったこともあるし分かるんだ。

View this post on Instagram

ビールとキューリとマヨネーズと味噌 これでどれだけの いイイネ が 来るのか? オレ中華で飲ろうぜ

A post shared by 玉袋筋太郎(@sunatamaradon) on

オレがこれまでやってきて成功した体質変化でいうと、“タイガーダイエット”ってのがあった。タイガーマスクじゃないけれど、「自分は野生のトラだ!」と思い込むことによってダイエットする方法だ。……って、全く意味不明でしょ?

人間は1日に朝・昼・晩と飯を食ってるけど、野生のトラはそうじゃない。獲物を得るために空腹で森を彷徨い、ようやく見つけた獲物に襲いかかり、捕食して身体を休める。そして数日経って、また空腹になったら狩りに出るわけだ。そう、オレは野生のトラなので朝・昼を抜き、晩飯をガッツリ喰ってから寝る、ってライフスタイルに変えたのである。

View this post on Instagram

プライベート町中華で飲ろうぜ

A post shared by 玉袋筋太郎(@sunatamaradon) on

これ、とにかく夜までの空腹感が辛い。しかし、ようやくありついた獲物=晩飯の味は格別。朝・昼の食事代が浮いているので、夜にその食事代を上乗せすれば普段より上等な餌(=晩飯)にありつけるのだ。普段はロースだったのが、特上ロースになったりするわけ。それと1日1食だから、せっかく食べられる晩飯にこだわりが出てきてグルメになった。始めた時の体重が86キロで、この生活を始めてみて1か月が経ち体重計に乗ったら……1キロしか落ちていなかった。

空腹に耐えた割に体重が落ちていないのはショックだったが、とりあえず続けてみて3か月後に再び体重計に乗ったら、3キロ落ちていた。つまり1ヶ月に1キロづつ減量していたのだ。ならば! と、このライフスタイルを2年間24か月続けてみると、24キロ体重が減ったのである。それまで自堕落だった豚のようなオレが、しなやかな野生のトラに変身したのだ。あまりの変わり様に、仲間からは「覚醒剤やってるんだろ」とツッコミを受けたが、これほど体質変化を実感したことはなかった。

30年以上毎日飲酒してきた玉ちゃんが“早死に宣告”を受けて始めたアルコール・コントロールの効果は!?

そして最近では、2020年に入ってから始めた“アルコール・コントロール”ってのが、自分の身体の変化が一番出ている体質変化なんだよな。呑める年になってから52歳になるまで一度も酒を飲まなかった日がなかったオレ。アルコール連続試合出場記録で言ったら、プロ野球の連続試合出場記録より確実に上! なぜなら向こうはオフシーズンがあるから。オレにはオフシーズンなど存在しないので、ず~っと飲み続けてきたわけだ。病院では、お酒を飲んで身体に出る検査結果も年々右肩上がり(良くないんだよ)となり、昨年さすがに担当のお医者さんから「人が人生に飲むアルコール量の3倍は飲んできたんだから、アルコール連続試合出場記録よりも“長く生きる連続試合出場記録”に目標を変えたほうがいいですよ」と、つまり「このままでは早死するぞ」と宣告を受けたのである。

View this post on Instagram

大抵のオフは 病院と美容院という生活 本当のオフが欲しいと願う築53年目男

A post shared by 玉袋筋太郎(@sunatamaradon) on

そうして2020年に入り、1月1日からアルコールを抜く日=アルコール・コントロールに挑んでみた。いや~ツラい! 本当にツラい!! 酒を抜くのがこんなにツラいなら、薬物を抜く人間ってどれだけツラいんだろうか? なんて考えもしたが、薬物は違法で値段は高価だし、入手経路も面倒くさい。それと比べてアルコールは合法で値段は安いし、どこのコンビニでも手に入るから我慢が大変なのである。

View this post on Instagram

町中華へのプライマー デッパツ!

A post shared by 玉袋筋太郎(@sunatamaradon) on

オレのアルコール・コントロールは断酒ではなく節酒なのでまだ心に余裕があるんだが、1か月が過ぎて病院で血液検査をしてみると、驚きの数値が出た。肝臓の数値で「γ(ガンマ)-GTP」ってのがあるんだけども、去年末のオレは330と高めの数値だったのが、なんと150になっていたのだ(まぁ、これでも健康な人に比べたら高い数値なんだけども)。1月を相撲と同じく“場所”として区切り、31日間で「飲まない日=勝ち星」「飲んだ日=負け星」として捉え、この原稿を書いている時点(3月初旬)で、なんと勝ち星が上回っているのだ。とはいえ、これもまだ自分の“ブーム”の時期なので、これを“ライフ”にしていこうと思っているわけだ。

しかし、他人の健康法やらライフスタイルを押し付けられるのは、読んでる方も面倒でしょう。まぁ、この『ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実』は、総てではないだろうけれども「自分も今後、ライフスタイルを変えるかもしれないな」と観た人に感じさせる作品ではある。

……が、監督は『ザ・コーヴ』(2009年:捕鯨問題を追ったドキュメンタリー)のルイ・シホヨス監督なのだった。確かにこの映画の影響で多少ライフスタイルが変わるかもしれないが、とはいえオレは今後の人生(ライフ)で、クジラもイルカも食べることを変えるつもりはないのだ。

文:玉袋筋太郎

『ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実』Netflixほか配信中

© ディスカバリー・ジャパン株式会社