元寇「2号沈没船」 埋め戻し作業

2号沈没船を酸素を通さないシートで覆う作業=松浦市鷹島沖(松浦市教委提供)

 松浦市教委はこのほど、鎌倉時代の元寇(げんこう)の遺物が多数見つかっている松浦市鷹島沖の海底で、2014年に発見された「2号沈没船」を保存するため、新たな埋め戻し作業を実施した。
 2号沈没船は元寇船とみられる2隻目の沈没船で、鷹島東部の国史跡「鷹島神崎(こうざき)遺跡」に隣接する海域の水深約15メートルの海底に沈んでいる。船体側面とみられる長さ約12メートル、幅約3メートルの部分が現存している。
 15年の調査後は、フナクイムシの食害による劣化を防ぐため、砂を詰めた土のうで埋め戻した。定期的に保存状況を監視していたが、18年の調査では、土のうの隙間から海水が入り込んでいて、劣化が進行する恐れがあると分かった。
 今回の作業は2月中旬から約2週間実施。土のうを除去した後、2号沈没船の状態を3Dカメラで撮影して記録した。沈没船を粒子の細かい砂で覆い、酸素を通さないシートと砂を交互に2度重ねた上に、土のうを置いて埋め戻した。
 作業に当たった元寇沈没船の保存・活用に関する学際研究で研究代表者を務めている琉球大の池田榮史(よしふみ)教授は「これで将来引き揚げるまでに沈没船が劣化することはないだろう」と太鼓判を押した。

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