青山私道通行訴訟 初弁論 業者側争う姿勢 長崎地裁

 長崎県長崎市青山町の団地で生活道路の通行を妨害されているとして、住民7人が、道路を所有する福岡県の不動産管理会社に通行権の確認や慰謝料などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が16日、長崎地裁で開かれ、業者側は請求棄却を求めた。
 訴状などによると、住民側は土地取得の際に私道を通行できる地役権を得たとし、これまでの私道の所有者は通行を妨害しなかったと主張。第三者を含めて通行を認めることや、通行妨害で精神的苦痛を受けたとして1人当たり26万円の慰謝料も求めた。
 住民2人が意見陳述し「(50年前の)開発業者は車が私道を通って家に横付けできると宣伝していた」「団地には高齢者や病人も多い。生活権が脅かされている」と訴えた。原告側弁護士は「新たに所有権を取得した者が通行を禁止できるとなれば、あしきビジネスモデルを生み出しかねない」と主張した。
 業者側は出廷せず、地役権を設定した契約書は存在しないとする答弁書を提出した。
 私道は約700メートル。福岡県の管理業者が2018年11月に取得後、長崎市に寄付を打診したが折り合わず、住民に買い取りや通行料を要求したが断られたため、昨年10月に封鎖した。住民7人は通行妨害禁止などを求める仮処分を長崎地裁に申し立て、地裁は昨年11月、住民側の主張を認める決定を出した。

 


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