人吉市の「球磨焼酎株式会社」が解散 球磨焼酎の「けん引役終えた」

社屋の前で代表的な銘柄「球磨焼酎」を手にする代表4人。左から豊永史郎、池邉道人、下田文仁、堤純子の各氏=12日、人吉市

 人吉球磨の焼酎蔵元27社が出資する共同瓶詰会社「球磨焼酎株式会社」(人吉市麓町)が12日、解散を発表した。同社は約60年にわたる「球磨焼酎のけん引役を終えた」とし、今月末から解散手続きに入る。

 同社は地元消費が中心だった球磨焼酎を全国的に広め、販路を拡大しようと1962年に創業。資本金1730万円。各蔵元から購入した原酒をブレンドして「球磨焼酎」の銘柄などで全国販売している。代表は豊永史郎(豊永酒造)、池邉道人(六調子酒造)、下田文仁(大和一酒造元)、堤純子(繊月酒造)の4氏が務める。

 同社は昭和50年代半ばのピーク時には年間約6億円を売り上げていたが、蔵元が独自に販売ルートを広げるようになると販売量は減少。昨年度の売り上げは約4300万円まで減少していたという。

 昨年10月、臨時株主総会で発展的解散を決議した。豊永氏は「球磨焼酎は全国的に知られるようになり、会社の役目を終えた。現在は資産も十分にあるので、今解散すれば各蔵元に配当を支払い、設備投資などに役立ててもらえると判断した」と説明した。

 同社は今月末までに全商品の販売を終え、6月までに経理業務を終了する。(吉田紳一)

熊本日日新聞 2020年3月13日掲載

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