【聖火をつなぐ】14 3代が五輪に関わり 新居瑞稀さん(15)(松茂町豊岡、松茂中3年)

 「東京五輪を楽しみにしていた亡き祖父と祖母に、走る姿を見守ってほしい」

 2年前に73歳で亡くなった祖父理英さんは、1964年の東京五輪で松茂町代表として聖火ランナーを務めた。母宏子さん(48)=自衛官=は近代五種競技の元選手で、今回の五輪に審判員として参加する。3代続けて五輪に関わり、喜びもひとしおだ。

 宏子さんは現役引退後、競技を盛り上げる手伝いがしたいと、国際審判員の資格を取得した。聖火ランナーへの応募は、宏子さんから「五輪の素晴らしさを感じてほしい」と勧められたためだ。

 「祖父のように走ってみたい」と決意。落選を覚悟していただけに、ランナーに選ばれたと連絡が届いた際は「じいちゃんが当選させてくれた」と家族で感極まった。入院中だった祖母かをりさんも涙を流して喜び、孫の勇姿を楽しみにしていた。だが数日後、祖父の元へと旅立った。

 聖火ランナーとしての実感は、まだ湧いていないという。それでも「沿道の人が私と一緒に走っていると感じてもらえるよう、笑顔で走り抜きたい」。夢の舞台を心待ちにしている。

祖父が聖火ランナーを務めた1964年当時の写真を見る瑞稀さん(左)と宏子さん=松茂町の自宅

© 一般社団法人徳島新聞社