ジャッキー・チェン、絶滅危惧種『センザンコウ』保護活動に参加

アクションスーパースターのジャッキー・チェンは世界で最も売買されている哺乳動物、センザンコウ(または鱗状アリクイ)の密猟を防止する活動に参加した。

保護団体「ワイルドエイド(WildAid)」、「ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(The Nature Conservancy)」によって公開されたビデオ「カンフー・センザンコウ」の中で、ジャッキー・チェンはセンザンコウが密猟者から自分の身を守れるようにカンフーを教え、センザンコウの肉や鱗を買わないよう人々に呼び掛けている。そして「買うのをやめれば捕獲もなくなる」と訴えている。

肉や鱗を入手するために毎年何千ものセンザンコウが不法に狩猟されている。事実、アメリカ合衆国魚類野生生物局によると、過去10年間において100万匹以上のセンザンコウが売買されており、そのほとんどが中国やベトナムの需要に合わせたものだという。

センザンコウの鱗は(人間の指の爪やサイの角と同様に)ケラチンでできており、伝統的な漢方薬として普及している。取引業者は、その鱗によってぜんそくや関節炎、リウマチを治療することができ、さらには月経や母乳の分泌を促進させると主張しているが、これらの主張は未だかつて証明されていない。またセンザンコウの肉はベトナムや中国では珍味とされている。

「現代でもなお、センザンコウのような野生動物を食べて絶滅の危機にさらしているなんて、どうかしている」とジャッキー・チェンは声明の中で述べている。「(我々の活動により)それは間違った行為であると人々に納得してもらえることを願っています」と語った。

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コンゴ共和国中部で撮影されたキノボリセンザンコウ。写真:Valerius Tygart (Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0)

現在も続いている不法な野生動物の売買は、現存する8種のセンザンコウ(アフリカ、アジアにそれぞれ4種)の存続を脅かしている。

アジアに生息するセンザンコウには、中国センザンコウ(ミミセンザンコウ)、スンダセンザンコウ(マレーセンザンコウ)、インドセンザンコウ、フィリピンセンザンコウ(マニス・クリオネンスィス)があり、国際自然保護連合のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)で絶滅危惧IA類または絶滅危惧IB類のいずれかに指定されている。またアフリカに生息する4種には、サバンナセンザンコウ、シロハラセンゼンコウまたはキノボリセンザンコウ、オオセンザンコウ、オナガセンザンコウがあり、これら全てが絶滅危惧II類に指定されている。

昨年、全8種のセンザンコウが最高レベルの保護を受けるべきであると国際法において承認された。そして世界的な商取引を禁止する「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)」において、附属書Ⅰに記載された。

しかしながら、中国やベトナムにおけるセンザンコウの市場価値は依然として高く、密猟者は大量に狩猟し続けている。

例えば、先月にはマレーシア税関当局によって麻袋に入った8トン以上のセンザンコウの鱗が発見された。鱗は少なくとも1万6千匹のセンザンコウから採取されたものと推定される。5月には香港の税関職員がアフリカから到着した輸送コンテナの中から7トン以上ものセンザンコウの鱗を発見した。

8月30日水曜日、タイ税関当局は生け捕りにされた136匹のセンザンコウと450キロ(992ポンド)の鱗を押収した。これらはマレーシアから輸出されており、おそらくは中国やベトナムに密輸されるものだったのであろう。

ビデオ「カンフー・センザンコウ」とそれに付随する広告看板は中国とベトナムで広く配信されるだろう、とWildAidは語った。

「センザンコウ保護において優先すべきは消費需要の減少と執行の改善である」と、WildAid CEOのピーター・ナイツ氏は声明の中で述べている。「ジャッキー・チェン(が出演したビデオ)はアジア全域でたくさんの観衆によって視聴され、これらのキャンペーンは人々に大きなインパクトを与え(人々の)考え方が変わっていくのは明白である。(例えば)中国へのフカヒレの輸入は3年で81%減少した。また昨年押収された象牙は80%減少し、象牙やサイの角の価格は50%以上下がった。」とも語った。

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センザンコウの消費中止を呼びかけるジャッキー・チェン。 写真提供:WildAid

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