ボルネオオランウータンの80%が保護区外に生息

ボルネオ島のインドネシア領域、カリマンタンにおける野生オランウータンの5分の4が国立公園外、保護区外に生息していることが、インドネシア政府による新たな調査で分かった。

調査は、「2016年オランウータン個体群および生息環境の実現可能性評価」と称され、環境林業省主導のもと行われた。先月発表され、前回の2004年に続く3回目の調査である。

調査では、住処である森林が産業拡大によって破壊され続けていることで、オランウータンの生息数が激減していると明らかにしている。違法なペット取引もまた既存集団に被害を与えている。

調査は、近絶滅種であるボルネオオランウータン(ポンゴ・ピュグマエウス)がカリマンタンにまだ57,350頭生息していると推定している。これは毎100平方キロメートルに13~47頭となり、2004年の約45~76頭から減少している。

政府の保護がなければ、オランウータンの生息地は1つ、もしくは複数の木材、プランテーション、鉱業会社に割り当てられた広大な土地の支配下となってしまう。権限を持つ一続きの、もしくは分断した森林を保護しようとする会社がある一方、たやすく伐採してしまう会社もある。

ボルネオオランウータンの仲間と比較すると、オランウータンが確認できるもう一つの場所、インドネシア西の島、スマトラ島では65%が保護区内に生息している。

調査結果は利害関係者のボルネオオランウータン保護の仕方について、特に保護区外での取り組みに影響を与えると予想される。

調査に参加した合同グループ、インドネシアオランウータンフォーラムとの共同声明において、環境林業省は社用地内の森林に生息するオランウータンの保護に向け、「より本格的な取り組み」を求めた。

ボルネオオランウータンへの脅威を軽減する他の方策として、報告書は森林伐採の減速、もしくは阻止、そして法施行強化といったことを明らかにした。

オランウータンはインドネシアの法律の下、保護されており、取引やペットにすることは禁止されている。しかし多くの人はこの規定を無視し、ペットとしての取引が蔓延しているようである。

ルーサーエコシステムのスマトラオランウータン 写真:Rhett A. Butler/Mongabay.

オランウータンは主に木の上で生活をしているため、成熟したオランウータンが地面に触れることは滅多にない。したがって森林伐採が生息数減少の主な引き金となっていることは明らかだ。

リバプール・ジョン・ムーア大学、保全生物学博士課程の学生、John Abernethyさん による継続中の研究によると、特に、森林の「分断化」はオランウータンにとって様々な面で悪影響を及ぼすという。

生息地の縮小に伴い、オランウータンが群れでの生活を強いられると、「疫病伝播や負の社会的相互作用の可能性が上昇する」とインタビューで述べた。「同じ場所に長く居続ければ、捕食、密猟および寄生虫病の可能性が上がる。」

また、森林伐採によって、オランウータンの生息数を支えるには小さすぎる「森林島」が形成されることにもなる。その中に閉じ込められたオランウータンはたいてい餓死したり、危険を冒して人間の居住域で食料をあさり歩いたりする。

報告によると、森林破壊に対処するには、木材、パーム油プランテーション会社が保有する土地内での森林の伐採を0にしなければならないという。

ボルネオオランウータンサバイバルファウンデーションのCEO、Jamartin Sihite氏
は、生物の家である森林の破壊に終止符を打たなければならないと訴えている。「森林破壊によってオランウータンは住処からリハビリテーションへ追いやられてしまう。」「私たちはリハビリテーションセンターの増設ではなく、閉鎖を果敢に目指さなければならない。」と主張した。

6匹のオランウータンの赤ちゃん 左から Svenja, Fathia, Meryl, Madara, Syahrini
カリマンタン中部Nyaru Menteng のボルネオオランウータンサバイバルファウンデーション の地面で遊ぶ 写真:Bjorn Vaugn (BOSF/Greenpeace)

報告によると会社は所有地内でのオランウータンの保護に責任を持つべきであり、他の場所に移動させるべきではないという。

プランテーションによりボルネオオランウータンの住処が侵害されると、企業の土地から救出し、特別施設でリハビリを行い、そして保護区の森林に解放するという伝統的なアプローチがなされてきた。

しかしながら、ボルネオの熱帯雨林縮小に伴い、オランウータンを保護する場所が不足してしまい、リハビリテーションセンターはいっそう混雑してきている。

「もうあまり森林が残っていない。」と世界自然保護基金(WWF)インドネシアオランウータンプログラムの代表、Uyung 氏は語る。

企業はその権限のある地区で見つかったオランウータンを立ち退かせるのではなく、保護すべきだと、ひとつの名前を使うUyung氏は述べた。

移転は必要がある場合に企業が費用を負担してする、最終手段であるべきだと報告は主張する。

報告をたどると、政府はオランウータンが住む保護区外の地域の正確な場所を特定できると、環境林業省の生態系および天然資源保護局長、Wiratno氏はいう。

「オランウータンの生息場所についてのデータを求めているところだ。」とWiratno氏はジャカルタでの記者会見で述べた。「もし木材プランテーションエリアに生息しているなら、どこの権限なのか?パーム油プランテーションエリアに生息しているなら、所有者は誰か?私たちはそこに閉じ込められたオランウータンを救うべく、(企業に)協力を求めるつもりだ。」

さらにWiratno氏は、密猟に関する法施行改善の必要性を強調した。

「私たちは国家警察および法務長官事務局法執行機関の長に会うことができた。」とWiratno氏は語った。「彼らはオランウータンに関して詳しくないので、(オランウータン保護への)責任について話すことができた。」

さらに報告書は、島、州、区の土地利用計画はオランウータン保護を主流に組み込み、省庁による方針、規制と一致するよう見直さなければならないと提案した。

追加報告はBasten Gokkon氏による。

編集者の注釈:長官Wiratno氏の引用箇所一部の誤訳を訂正した。彼が本当に強調したかったのは、違法な野生動物取引に対する法施行強化に向け、情報共有を通じた警察との連携の意思であった。

バナー画像:カリマンタンの若いオランウータン 写真:Rhett A. Butler/Mongabay

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