1年間放送の「やすらぎの刻」撮影終了。倉本聰「若い人たちとベテランとの間で交流ができたなら幸せ」

テレビ朝日系で放送中の帯ドラマ「やすらぎの刻~道」(月~金曜午後0:30、BS朝日は月~金曜午前7:40)の撮影がオールアップを迎えた。

同作は昨年4月に放送スタート。石坂浩二演じる脚本家・菊村栄ら“テレビ人”が入居する老人ホーム「やすらぎの郷」の人間模様と、根来しの(清野菜名・風吹ジュン)と公平(風間俊介・橋爪功)の夫妻の一代記である、菊村が手掛ける劇中の物語「道」という二つの世界を描き、好評を博してきた。

脚本を手掛けた倉本聰氏の原稿総枚数は倉本作品史上最多の5500枚、放送総尺は計67時間に達したほか、スタジオ撮影総日数は153日、ロケ総日数は171日。そして、総出演者は402人。エキストラ総数1235人と、壮大なスケールの作品となっている。

「道」パートの昭和編で公平役を演じた風間は、平成編に突入し、公平の晩年を演じる橋爪にバトンタッチ。一度作品を“卒業”したものの、3月17日に放送された第240話に再登場。風間と橋爪という2人の公平が、長回し撮影に挑んだ。撮影を終え、正真正銘のクランクアップを迎えた風間は、「こんなにも責任感、充実感を覚えながら撮影をしたのは初めてではないかと思える作品で、楽しいこともありましたが、プレッシャーにのたうち回ったような時もありました。でも、こういう作品を作るために今まで頑張ってきたのかなと思うぐらい、幸せな時間でした」と感無量。そして、橋爪との“W公平”の共演に、「胸にグッとくるものがありました。いやぁ~、ついに終わりかぁ~!」と万感迫る表情で、橋爪と握手を交わした。

その数日後に橋爪と風吹もクランクアップ。風吹は「倉本先生、素晴らしいキャストとスタッフの皆さん、そして演出家の皆さん…どんなにお礼を言っても足りないぐらい、素晴らしい時間を過ごさせていただきました。やっぱり終わってほしくないなぁ(笑)。橋爪さんの素晴らしい芝居を、ずーっと見ることができて幸せでした」とコメント。橋爪は「イエーイ! スタッフの皆さん、お疲れさまでした」と、花束を掲げて一言。記念撮影を終えた後に「ちょっとだけ寂しい~!」とスタッフにねぎらいの言葉を投げかけた。

「やすらぎ」パートで同時にクランクアップを迎えた浅丘ルリ子、加賀まりこには石坂が花束を贈呈。浅丘は「この現場は皆さん一人一人がすてきで、いい人ばかり。普通なら、会うたびに嫌なところがどんどん出てくるはずなのに、そんな人が誰もいなくて、“どういう番組なのかしら”と思っていました。お仕事に来るのが本当に楽しみでした」と作品との別れを惜しんだ。

そして、最後にクランクアップを迎えたのは、2017年放送の「やすらぎの郷」(同系)から足かけ3年にわたり、主人公を演じてきた石坂。ラストシーンを終え、「“ありがとうございます”という、感謝の気持ちしかありません…」と感慨深げに言葉をつなぎ、「キャストスタッフ全員を代表して、まずは倉本先生に感謝をささげたい。でも、僕も『道』パートに出演したかったなぁという思いがあり、そこだけは倉本さんに恨みを持っています(笑)。僕自身、あと何年やるか分かりませんが、この作品の経験を生かして、もう少しの間、お芝居を一生懸命やっていきたいと思います」と新たに生まれた誓いを語った。

オールアップを迎え倉本氏も、「皆さんご苦労さまでした。最初にこの『やすらぎ』シリーズを書き始める時、若者にとってのゴールデンがあるならば、老人にとってのシルバータイムがあっていいんじゃないかと考えました。また、テレビの世界は“伝承”というものができておらず、これまでベテランが培ってきた技術や歴史が若い人たちに伝わってないような気がします。『やすらぎ』の出演者は大スターが多いですが、今回は『道』パートもあり、若い俳優の皆さんにも出演していただきました。このドラマの中で、若い人たちとベテランとの間で交流ができたなら幸せです」とドラマに込めた思いを明かしすとともに、すべてのスタッフ、キャストに感謝の言葉を送った。

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