清原は3割30本、松坂は16勝とケタ違い 歴代の名選手たちも苦労した高卒1年目

西武・松坂大輔【写真:荒川祐史】

高卒新人では楽天の黒川が1軍に帯同し開幕1軍入りも現実味

 プロ野球は2020年シーズンの開幕を延期することが決まった。オープン戦も全日程が終わり、各球団は練習試合などを行い調整を続けることになる。予想外の出来事で調整期間が延びチーム編成も微妙に変わってくるかもしれない。

 そんな中で注目を集めるのが、開幕1軍に割って入ってくるルーキーの存在。高卒、大学、社会人からプロの世界に飛び込み育成、即戦力などチーム状況によって変わってくるが、昨年は広島・小園海斗が高卒1年目ながら開幕1軍入りを手にした。

 今季も広島のドラフト1位・森下暢仁投手、日本ハムの1位・河野竜生投手、ソフトバンクの1位・ドラフト1位・佐藤直樹、同3位・津森宥紀投手、中日の2位・橋本侑樹投手、同3位・岡野祐一郎投手、同4位・郡司裕也捕手らが実戦、オープン戦で結果を残した。

 一方で、高校時代から大きな注目を集めてきたロッテの佐々木朗希投手、ヤクルトの奥川恭伸投手は育成段階ということもあり2軍スタートが濃厚。一方で楽天のドラフト2位・黒川史陽内野手は最後まで1軍に帯同し開幕1軍入りも現実味を帯びている。

 ここでは、高卒でプロ入りし球界を代表するプレーヤーへと成長を遂げた選手たちがルーキーイヤーに、どれだけの成績を残してきたのか振り返ってみる。まずはすでに現役を退いた名プレーヤーたち。

ルーキーイヤーで圧倒的な成績を残したのは清原、打率.304、31本塁打を記録

○工藤公康投手(1981年西武6位)

27試合1勝1敗0セーブ 3.41
28.2回22安打0本塁打21四球29三振11失点

○清原和博内野手(1985年西武1位)

126試合404打数123安打31本塁打78打点 .304
6盗塁49四球109三振 長打率.584 出塁率.392

○桑田真澄投手(1985年巨人1位)

15試合2勝1敗0セーブ 5.14
61.1回64安打13本塁打17四球57三振36失点

○立浪和義内野手(1987年中日1位)

110試合336打数75安打4本塁打18打点 .223
22盗塁42四球53三振 長打率.310 出塁率.317

○谷繁元信捕手(1988年大洋1位)

80試合154打数27安打3本塁打10打点 .175
0盗塁13四球43三振 長打率.273 出塁率.247

○前田智徳外野手(1989年広島4位)

56試合43打数11安打0本塁打5打点 .256
4盗塁1四球3三振 長打率.326 出塁率.273

○イチロー外野手(1991年オリックス4位)

40試合95打数24安打0本塁打5打点 .253
3盗塁3四球11三振 長打率.305 出塁率.276

○松井秀喜外野手(1992年巨人1位)

57試合184打数41安打11本塁打27打点 .223
1盗塁17四球50三振 長打率.451 出塁率.296

○松井稼頭央内野手(1993年西武3位)

1年目の1軍出場なし

 高卒1年目として圧倒的な成績を残したのは、やはり清原和博。打率3割超え、31本塁打と異次元のレベルといってもいい。メジャーでも活躍した松井秀喜は2桁本塁打(11本)を放っているが、打率.223と苦しんだ。イチローも40試合に出場し.253と高卒としては上々の成績だが清原以上のインパクトは残していない。

松坂大輔は高卒1年目で16勝をマーク、田中将大も11勝、藤浪も10勝と先発ローテとして活躍

 では今シーズンも現役としてプレーする選手たちはどうか?

○松坂大輔投手(1998年西武1位)
25試合16勝5敗0セーブ 2.60
180回124安打14本塁打87四球151三振55失点

○ダルビッシュ有(2004年日本ハム1位)
14試合5勝5敗0セーブ 3.53
94.1回97安打7本塁打48四球52三振37失点

○田中将大(2006年楽天高校生1位)
28試合11勝7敗0セーブ 3.82
186.1回183安打17本塁打68四球196三振83失点

○坂本勇人(2006年巨人高校生1位)
4試合3打数1安打0本塁打2打点 .333
1盗塁0四球0三振 長打率.333 出塁率.333 

○前田健太(2006年広島高校生1位)

1年目の1軍出場なし

○筒香嘉智(2009年横浜1位)

3試合7打数1安打1本塁打1打点 .143
0盗塁2四球1三振 長打率.571 出塁率.400

○菊池雄星(2009年西武1位)

1年目の1軍出場なし

○大谷翔平(2012年日本ハム1位)

投手:13試合3勝0敗0セーブ 4.23
61.2回57安打4本塁打33四球46三振30失点
打者:77試合189打数45安打3本塁打20打点 .238
4盗塁12四球64三振 長打率.376 出塁率.284

○藤浪晋太郎(2012年阪神1位)

24試合10勝6敗0セーブ 2.75
137.2回119安打10本塁打44四球126三振48失点

○鈴木誠也(2012年広島2位)

11試合12打数1安打0本塁打1打点 .083
0盗塁1四球1三振 長打率.083 出塁率.214

 甲子園で春夏連覇した勢いをそのままプロの世界に持ってきたのは松坂大輔だろう。今季から西武のユニホームに袖を通す右腕は1年目から16勝をマークし、防御率2.60と好成績をマーク。高卒1年目から3年連続最多勝という成績を残した。田中将大は2桁となる11勝、藤浪晋太郎も10勝をマーク。ダルビッシュは5勝、大谷は二刀流として3勝&4本塁打とその片鱗を見せた。

 ここでは上記で名前が挙がらなかったが、近年の高卒ルーキーで注目を浴びた日本ハム・清宮幸太郎は1年目で打率.200、7本塁打、広島・小園海斗は打率.241、4本塁打と一定の数字を残した。ロッテ・藤原恭太は打率.105、0本塁打、中日・根尾昂は2試合の出場で初ヒットはお預けとなりプロの壁に苦しんだ。

 高校時代に大きな実績、注目を浴びた選手たちでも1年目から活躍するのは至難の業だ。今シーズンも近い将来、球界を背負って立つ逸材たちが1軍でプレーすることになるだろう。大きな壁にぶつかる時もあるが、その成長過程を見守っていきたい。(Full-Count編集部)

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