吉野彰さん 延岡名誉市民  「今後も発展に貢献」

 延岡市は18日、リチウムイオン電池の開発で昨年、ノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェロー吉野彰さん(72)に、名誉市民の称号を贈ると発表した。吉野さんが同市で実験を行ったことで電池開発が大きく前進し、後の偉大な功績につながったため。同日開いた市議会3月定例会に提案し同意された。
 吉野さんは今月、同市で記念講演を行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大のため中止に。会見した読谷山洋司市長は「感染が終息した時には、名誉市民として講演をお願いしたい」と話している。
 吉野さんはリチウムイオン電池の素材を探す中、同市の旭化成岡富工場で開発していた炭素繊維を研究に取り入れ、開発が前進。さらに、商品化に向けて同市・東海工場で行った試験で安全性を実証したと振り返っている。
 吉野さんが同市に住んだことはないが、「社会公益に偉大な貢献をした延岡市に縁故が深い者」との、市名誉市民条例の趣旨に合致すると判断。読谷山市長が2月に東京で吉野さんと会い、正式に承諾を得た。
 吉野さんは「延岡市はノーベル賞につながる重要な実験に成功した思い出の地。今後も微力ながら延岡市の発展に貢献し共に成長したい」とコメントを寄せた。

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