伝統のル・マン24時間耐久レースが新型コロナウイルスの影響で9月に延期! 来季カレンダーも改訂へ

 ル・マン24時間耐久レースを主催するACOフランス西部自動車クラブは3月19日、2019-2020シーズンのFIA WEC世界耐久選手権最終戦である第88回ル・マン24時間耐久レースについて、新型コロナウイルスの影響により、2020年9月19〜20日に延期すると発表した。

 例年、夏至に最も近い6月の中旬に開催される世界三大レースのひとつ、ル・マン24時間は2020年は6月13〜14日に、WECの2019-2020シーズン最終戦として予定していた。しかしヨーロッパで拡大する新型コロナウイルスの影響により、フランスでは外出禁止令が出されるなど状況が悪化。ついにACOとFIAは3月19日、健康上の理由と現在の制限の結果として、第88回となる2020年のレースを延期すると発表した。

 新たに予定されたスケジュールは、2020年9月19〜20日が決勝日となるが、近年WECでは年をまたぐ“スーパーシーズン”として開催され、ル・マンはその最終戦として位置づけられていた。そのため、2019-2020シーズンの最終戦が9月までずれ込むことになる。

 ACOは、ル・マン24時間のリスケジュールにともない、WECのシーズン9、ヨーロピアン・ル・マン、LMP3とGT3で争われるミシュラン・ル・マン・カップ、リジェ・ヨーロッパシリーズの今後のカレンダーの改訂が行われると明らかにした。さらに、この困難な時期において、ACOは医療従事者への支援をより一層行いたいと表明した。

「もともと6月13〜14日に予定されていたル・マン24時間を延期することは、我々がいま経験している例外的な問題に直面するにあたっての、適切な解決策だ。イベントの安全性やクオリティを保つために、あらゆる努力を行うことは言うまでもない」とACOのピエール・フィヨン会長は語った。

「まず、自分自身と家族、周囲の人々がリスクを負わないように皆にお願いしたい。いま、ウイルスの感染拡大を止めることが重要な課題だ。また、我々の健康を守るために働くすべての医療関係者に感謝したい」

「我々は参戦チーム、パートナー、ファン、メディア、医療サービス、オーガナイザー、マーシャルとともにひとつのチームとして、これまで以上に働いていく」

 長き伝統を誇るル・マン24時間は、第二次世界大戦前のストライキ、第二次大戦と戦後復興にともなう中止以外は、88回に渡って開催が続いている。延期という判断にまずは安堵したいところだろう。なお、二輪のFIM EWC世界耐久選手権第3戦ル・マン24時間耐久ロードレースは、すでに9月5~6日に延期が決定している。また、2019年も“連戦”だったル・マン24時間とニュルブルクリンク24時間は、今年も“連戦”となり、LM-GTEのドライバーなどはタイトなスケジュールになりそうだ。

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