議員の旧姓使用「必要な措置」を 地方議会に通知

3議長会が発出した通知

 地方議員の議会活動での旧姓使用を巡り、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会が、各地方議会の議長に「必要な措置」や「適切な対応」を求める通知を出していたことが19日、分かった。旧姓を含めた通称の使用を認めるよう強制するものではないが、衆参両院での運用例や、改善を求める有識者の意見などを周知する狙いがあり、旧姓使用の広がりを後押ししそうだ。

 地方議会での旧姓などの通称使用を巡っては、公選法は選挙活動で通称を使うことを認めているが、議員活動での使用は各議会に委ねられている。昨春の神奈川県山北町議選に旧姓で立候補して初当選した女性町議について、当選後に町議会が旧姓での議員活動を認めず、戸籍上の姓で活動している事例などがあり、改善を求める声が上がっていた。

 3議長会は今月10~13日にかけて全国の地方議会に通知。市議会議長会は国会では衆参ともに通称の使用が認められている例を紹介した上で、「必要な措置など格別の配慮」を各議長に求めた。都道府県、町村議会議長会は、国会での運用などを参考にした「適切な対応」を要請した。

 町村議会議長会は取材に「通称使用を認めるかどうかは各議会で決めるものだが、希望する議員は増えている。参考にしてもらう意味で、あらためて通知した」と説明した。

 旧姓で当選した議員が議会活動で旧姓の使用が認められない場合、「有権者に分かりにくい」との指摘もあり、高市早苗総務相は2月28日の衆院総務委員会で、「3議長会と連携して取り組んでいく」と答弁。総務省の研究会でも、有識者から旧姓を含む通称の使用ができるよう問題提起があり、3議長会の通知では総務相答弁や有識者の意見も紹介している。

 神奈川新聞社の調べでは、県を含む県内34議会のうち昨年12月時点で16議会が、通称を議員名として認めていないか、認めた事例がないとしている。

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