遊撃か三塁かそれとも一塁? 定位置奪取目指すロッテ鳥谷、狙い目のポジションは

3番・二塁でスタメン出場したロッテ・鳥谷敬(左)【写真:宮脇広久】

遊撃本命は藤岡、三塁にはレアード、二塁には中村奨が立ちはだかる

 前阪神でロッテに入団した鳥谷敬内野手は17日から19日まで、2軍練習試合の巨人3連戦(ロッテ浦和)に出場し、遊撃、三塁、二塁の3ポジションをこなしたが、“便利屋”にとどまっているつもりはない。38歳のレジェンドがレギュラーを狙うには、どのポジションが“狙い目”なのか。

 鳥谷は今月10日に入団が発表された直後から「野球をやる以上、当然レギュラーを狙っていく」と強調。一方で、自由契約を経て1軍最低保障額の今季年俸1600万円(推定)で“拾われた”立場とあって、定位置が用意されているわけでないことは承知している。「現状では、空いているポジションに入っていってチャンスをつかむしか、方法がない。どのポジションでもできるように、しっかり練習したい」と覚悟を決めている。

 鳥谷の本職でゴールデングラブ賞を4度受賞している「遊撃」には、プロ3年目で26歳の藤岡裕大内野手がいる。ルーキーイヤーの一昨年に全143試合出場を果たし、昨季はレギュラー定着を期待されたのだが、3度にわたる故障で81試合出場にとどまった。ただ、9月に月間打率.353をマークするなど、実力はうかがわせた。同程度の成績なら、将来を見据えて年齢の若い方が優先的に起用されるのが球界の常であり、鳥谷にとっては決して御しやすい競争相手ではないが、やはり1番可能性の高いポジションといえるのではないか。

 三塁のレギュラー本命は、昨季に球団史上14年ぶりの30本塁打(32本)をマークしたブランドン・レアード内野手だ。その長打力はチームにとって貴重。ただし、角中勝也外野手らの打撃成績との兼ね合いで、レアードが専らDHに回るようなことになれば、鳥谷にサードの定位置奪取の視界が開けてきそうだ。

ファーストミットも発注済、一塁には大砲井上が君臨するが…

 二塁には、2年連続全試合出場の中村奨吾内野手がいる。打率.284、39盗塁をマークした一昨年並みの成績なら文句なし。しかし、昨季は左目下のケガの影響で.232の低打率に終わっており、一抹の不安は残る。

 また、内野で一塁だけは守ったことがない鳥谷がロッテ入団に際し、あえてファーストミットを発注したことが話題になっている。一塁には、4番定着を期待されている井上晴哉内野手がでんと構えているが、こちらも昨季序盤に極度の打撃不振で2軍落ちを経験した。安定感抜群とはいかず、鳥谷も準備しておくに越したことはない、といったところか。

 3月も中旬に差し掛かってから鳥谷の入団が決まった背景には、若手の伸び悩みがある。2015年ドラフト1位で22歳の平沢大河内野手は右肘痛でキャンプ2軍スタート。17年ドラフト1位で20歳の安田尚憲内野手は、昨季イースタン・リーグで3冠(19本塁打、82打点、116安打)に輝き、今季は1軍で三塁の定位置獲得を期待されたが、キャンプ、練習試合を通じてパッとしない。ユーティリティプレーヤーの三木亮内野手が昨季オフに右膝を手術し出遅れている事情もある。一方で、ドラフト5位ルーキーの福田光輝内野手(法大)は、内野ならどこでも守れる器用さに加え、2打席連続弾を含むオープン戦3本塁打を放ち猛アピール。今後、鳥谷にとって脅威になるかもしれない。

 その鳥谷は19日の試合では、5回に2番手で登板した大嶺が2四球でピンチを背負うと、すかさず「ちょっと間を空けたい場面だったので」とタイムを取ってマウンドに駆け寄る姿があった。このあたりの気遣いはベテランならでは。それでも、シーズンで存在価値を示せなければ、来季現役続行の保証はない。鳥谷の苦闘はこれからが本番である。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2