椿教諭(山形中央高)、教え子に恵まれた30年

Sスケート指導、今月末退職

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30年間の指導生活を振り返る椿央教諭=山形市・山形中央高

 山形中央高のスピードスケート指導者として、2010年のバンクーバー五輪銅メダルの加藤条治(35)=博慈会=ら4人のオリンピアンを育てた椿央教諭(54)が今月末で退職する。今後は日本スケート連盟に所属してジュニア選手の強化プロジェクトに携わる予定。19日に山形新聞の取材に応じ、「教え子に恵まれた30年間だった」と山形での指導生活を振り返り、「ジュニア層の底上げを図って競技発展に貢献したい」と新たなステージでの夢を語った。

 ―山中央高での指導に区切りを付ける。

 「赴任以来、山形への恩返しの思いを持って選手育成に取り組んできた。(プロジェクトへの参加は)昨秋に連盟から正式な打診を受けた。後継の指導者が育ってきたことも含めて節目と思って決断した」

 ―30年間を振り返って。

 「選手として出場した1992年の『べにばな国体』の成功はもちろん、条治の五輪でのメダル獲得、インターハイでの総合優勝…。思い出を挙げれば切りがない。教え子に恵まれた教員生活だった」

 ―指導を求めて越境入学する生徒もいる。

 「考える力の重要性は常に選手に伝えている。与えられたメニューをただこなすだけでは強くなれない。技術や体力を高めるため、『自分には何が必要か』ということを選手自身が理解した上で地道に練習に取り組むことが成長につながる。つらい練習で『もう駄目だ』とやめるか、『もう1本』と続けるかも強くなるための分岐点。心の強さを養うことはレースに向かう自信にもつながる」

 ―参加するプロジェクトでの役割は。

 「中高生の有望選手を全国から集め、組織として強化・育成する取り組みになる。本格的なスタートは来春の見込みで、まずはスカウティングや練習環境の整備などに取り組むことになるだろう」

 ―目指すところは。

 「札幌市が招致を目指す2030年冬季五輪に向け、ジュニア層の底上げが重要になる。これまでの指導をベースにして世界で活躍できる選手を育てていくことができれば」

 ◆つばき・ひろし 1990年に山形中央高に着任して以降、本県スピードスケート界をけん引。長野県で開かれた91年の国体成年男子A5000メートルを制し、翌年のべにばな国体は個人2種目で準優勝。指導者として加藤条治をはじめ、小田卓朗(開発計画研究所)、ウイリアムソン師円(日本電産サンキョー)、一戸誠太郎(ANA)の五輪選手らを育てた。2015年の山新3P賞(進歩賞)受賞。山形市在住。北海道むかわ町出身。