明巌正因坐像、奪衣婆坐像も国重文 鎌倉・正伝庵と円応寺

木造奪衣婆坐像(鎌倉国宝館提供)

 正伝庵(鎌倉市山ノ内)の「木造明巌正因(みょうがんしょういん)坐像(ざぞう)」など同市内の2件が新規・追加で国指定重要文化財(美術工芸品)に、「旧太田家住宅主屋」(鎌倉市腰越)など同市内の2件が国登録有形文化財(建造物)に登録される見通しとなった。国の文化審議会が19日、文部科学相に答申した。

 鎌倉市によると、「木造明巌正因坐像」は、実在した住職の肖像。1365年に院応(いんおう)によって造られ、目玉に水晶があしらわれるなど写実性の高さは、当時の彫刻の特徴を示している。

 また、すでに指定を受けている円応寺(同)の「木造初江王(しょこうおう)坐像」「木造閻魔王(えんまおう)坐像」「木造倶生神(ぐしょうじん)坐像」に「木造奪衣婆(だつえば)坐像」を追加した。奪衣婆は三途の川で亡者の衣服をはぎ取る老婆で、弘円(こうえん)により1514年に造られたとされる。付指定されていた「木造鬼卒立(きそつりゅう)像」「木造檀拏幢(だんだとう)」も本指定とした。

 国登録有形文化財(建造物)には旧太田家住宅主屋と「材木座公会堂」(同市材木座)の2件を登録することが答申された。

 旧太田家住宅主屋は昭和初期建築のモダンな意匠の和洋折衷住宅。材木座公会堂は大正初期に建てられ、現在も集会所として利用されるなど地域で長く親しまれている。

 これらが登録されると県内の国指定重要文化財(美術工芸品)は計294件、国登録有形文化財(建造物)は計268件138カ所となる。

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